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プロジェクトマネジメントを勉強してみる
今回から、プロジェクトマネジメントについて学んでいった内容を投稿していきたいと思います。
現在、私はコンサルタントとしてERP導入に携わっているのですが、以前までに経験したこともある要件定義、機能設計、テストなどを行うFunctional Consultantとしての役割ではなく、Managementを行うチームの一員としての参画をしています。
当初はプロジェクトにおける関わり方が不明瞭で、とりあえず管理ができていないところを管理できるようにしようと動いていたらいつの間にかそういう立場になってしまったのですが、正直なところプロジェクトマネジメントというものをきちんと理解しておりませんし、PMBOKについても真剣に学んだことがありませんでした。
(正直あんまり楽しくないなぁーとは思いつつも)これはいい機会だと考え、今回からプロジェクトマネジメントについてPMBOKに沿って勉強していき、その内容を自分なりにまとめていきたいと思います。
参考にしてみた書籍
以下に、参考にしてみた書籍を載せています。こちらの書籍は、PMPとして25年以上活躍され、プロジェクトマネジメントに関して30,000人以上もの人材をIndustry問わず輩出してきているPM-Pulse創設者のManeesh Vijayaさんです。
Surfaceで書いたという絵でPMBOKの概念などが説明されており、とっつきやすかったので選んでみました。
Projectとは
まずはプロジェクトとは何かを理解するところから始めていきたいと思います。PMBOKの考えでは、仕事というものは2つに分けられ、それがProjectとOperationsです。
3つの性質:Temporary, Unique, Endeavor
PMBOK上の正式な定義では、プロジェクトとは「A temporary endeavor undertaken to create a unique product, service or result」とされています。分解してみると、プロジェクトの要素はTemporary:一時的な、Unique:独自の(他に似たものがないこと)、Endeavor:達成に向けた試み(Progressive Elaboration:段階的に詳細化される試み)だということになります。
この3つのどれにも合致する仕事はすなわちProjectであり、そうでないものはOperationsだということになります。
Temporaryな仕事か?
たとえば購買作業を担当していたとします。この仕事は継続的に発生する仕事で、一時的なものではありません。ものすごく細かいところまで見れば今日までに発注かけないといけない、というような区切りはあるかもしれませんが、それでも継続的に発生するものです。よって、これはOperationsとなります。
対して、グローバルの購買組織の立ち上げという仕事があったとすれば、一度立ち上げたら仕事はいったん終わりとなるはずですので、これはTemporaryな仕事であるといえるでしょう。
Uniqueな仕事か?
仕事が独自のものか、別の言い方をすれば、初めてやるものかどうか?というのが次の質問となります。
先ほどの例を取れば、購買作業はこれまでもこれからも継続される仕事なので、Uniqueとは言えませんが、グローバルの購買組織の立ち上げは今までされてこなかったからこそ必要となっている仕事のはずですので、Uniqueな仕事であるといえるでしょう。
Endeavor(Progressive Elaboration)であるか?
Endeavorというのは、何かを達成するための試みのことを示すのですが、それをさらに言い換えた、Progressive Elaboration:段階的詳細化であるかどうか、これが最後の質問となります。
なんだかわかりにくい言葉が出てきましたが、つまりは最初は不確定要素を多く含んでおり、それが時間を経て、詳細化されていくという性質を持っているか、という意味になります。
これまでの例を使うと、購買作業というものは、言ってみればこのProgressive Elaborationが既に完了しているものであり、グローバル購買組織の立ち上げはまさにProgressive Elaborationをこれからしていくものとなります。
よって、グローバル購買組織の立ち上げはTemporary、 Unique、Endeavor(Progressive Elaboration)いずれの性質も持つので、Projectであると考えられるでしょう。対して、組織が立ち上がった後に始まる購買作業はOperationsとなります。
Projectの終わり方
プロジェクトの終わり方には2種類あります。一つはTermination(完了)で、もう一方はOperationへの移行となります。
Terminationは必ずしも成功して終わるというものではなく、中止すべきという判断をされて終わる、というものも含むので、どのステージにおいても発生します。
私のこれまでのプロジェクト経験について触れてみると、以下のような感じでした。
- 製造業の予備部品ビジネスへの参入支援およびシステム構築
⇒予備部品ビジネスの前提となるプロダクトの製造遅延によりTermination(一時中断で解散) - グローバル物流組織の立ち上げおよびシステムの構築
⇒クライアントの経営状況悪化につきTermination - セルサイドのM&Aアドバイザリー
⇒売れるまでひたすらやり続けて、Termination - 電力業界向け投資基準策定
⇒基準を策定し、Operationsへ移行 - 製造業の海外子会社に対する減損テストのレビュー
⇒レビュー完了し、Termination
Project Managementとは
Projectが何かがわかったところで、Project Managementとは何か、という点を考えてみます。Project Managementというのは、「プロジェクトの要件に適合した知識、スキル、ツール、テクニックを活用して、プロジェクトを推進・管理していくこと」です。
Project Managementが適切に行われていると、プロジェクトの目的を早期達成することが出来るようになる、というのがわかりやすい点ですが、これに加えてプロジェクトの継続あるいは中止の必要性を早期に検討することも出来るようになります。
実際の導入方法はプロジェクトの状況に依存
Project Managementにおける基本的なプロセスはPMBOKにより体系的にまとめられていますが、その一方で実際に実行する際の手法は業界、組織体制、職業文化、各種規制などに依存することとなります。
確かに、物流システムの導入も購買システムの導入もなんとなくの流れは似ているのですが、実際に作業着手するにあたっては様々な違いがありますからね。
そのため、PMBOKで述べられているProject Managementというのは、どの世界でも通用する最強のプロジェクトマネジメント方法というものではなく、最もあり得る、広範囲に応用可能な方法であると考えるべきでしょう。
Methodologyとは
Project Managementにおいてよく出てくる言葉に、Methodologyというものがあります。私はコンサルファームで勤めていますが、提案の際にはよく「弊社にはグローバルのチームにより確立された業界個別のプロジェクト推進Methodologyがございます」的なことをよく言います。
したがって、Methodologyというのは、特定の業界やドメインにおいて適用されるプロジェクトの推進手法といえます。具体的に言えば、テンプレート、ルール、ツール、あるいはフェーズの分け方なんかもMethodologyといえるでしょう。
テンプレートについては、成果物、進捗管理の報告資料、ルールはエスカレーションの管理や変更管理の方法、ツールとしては、Issue, Risk管理や進捗管理、あるいは成果物の作成にも使えるものがあったりしますね。
終わりに
本日はいったんここまでにしたいと思います。
まだまだ始まったばかりで、「そんなのあたりまえじゃーん」という内容ばかりで恐縮ですが、今後も私なりの理解を含めた図解を入れつつ、PMBOKを勉強していきたいと思います。