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コンサルティングファームの採用面談で聞かれる内容、回答例
前回までは私自身が新卒で入社した会社を辞め、コンサルティングファームへ転職することを決意するまでを描きました。
ここから、コンサルティングファームの面談で実際に私が質問された内容とそれに対する回答を含む、よく聞かれる内容とその回答例についてお話していきます。
ちなみに、応募についてはリクナビやビズリーチなどを通してエージェントを見つけ、コンサルティングファームへの応募を開始頂くことになります。
今は転職エージェントも忙しいみたいできちんと対応してくれない(メールや電話だけで終わらせようとする)人もいるみたいですが、そうした適当な人ではなく、きちんと転職に向けた意思の確認や相談に乗ってくれる人を選ぶようにしましょう。
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インタビュー形式とケース形式
(インタビューとケース面談/ケース問題)
コンサルティングファームの面談ですが、通常のインタビュー形式とケース形式のものがあります。
【インタビュー形式】
オーソドックスに志望動機や、これまでの経歴などを聞かれる。 以降はそれに関する質疑応答で、面接官一人と30分~1時間程度で実施する。
【ケース形式】
*ケース面談、ケース問題などともいう コンサルティングファームのプロジェクトに入ったという想定で、顧客から聞かれている内容に答える、 あるいは回答をするまでの思考過程を聞かれるというもの。 ここでは、フェルミ推定も含むものとする。
こちらの投稿では、インタビュー形式で聞かれる内容、回答例を書いていきます。
ケース面談の質問内容については、各種良本が出ていますのでそちらを確認して頂ければと思います。
ケース面談の準備のための良本と、心構え
- 過去問で鍛える地頭力 外資系コンサルの面接試験問題
- 戦略コンサルティング・ファームの面接試験―難関突破のための傾向と対策
- 東大生が書いた 問題を解く力を鍛えるケース問題ノート
- 現役東大生が書いた 地頭を鍛えるフェルミ推定ノート
ケース面談というと身構える人が多いと思いますが、マッキンゼーやBCGあたりの質問もどれも似ていますし、正直そんなに難しくないです。
質問自体を文面で見ると「うげ」と思うものも正直ありますが、ケース面談は、正しい答えを言うことが必要なのではなく、回答にたどり着くまでの道のりを面接官と共有できるかが問題なので、普通に対話ができれば問題ないです。
逆に、それを理解できていない面接官もいて、ちょっと違うことを言おうものならマウンティングして叩きのめしてやろうとする姿勢が出てくる面接官なんかもいます。
本来ならば面接官はプロジェクトにおける上位者の立場として適切にディレクションしてケース面談をリードすべきなのですが、そういう人が出てきたら、そのファームはその程度の人材を面接官に選ぶ残念なファームなんだな、と判断しましょう。
面接は、面接官を見てどんな人が働いているのか、こちら側が見定める場でもあるのです。
インタビュー形式で聞かれる質問、回答例
前置きが長くなりましたが、ここからは実際に私が聞かれたことなどを交えつつ、インタビュー形式の面談で聞かれる質問とその回答例を書いていきます。
よくある質問
- これまでの職務経歴は? / 大学では何に力を入れたか?
- なぜ今転職活動をしているのか?
- なぜコンサルティングファームなのか?
- なぜうちなのか?
- これまでの経験が、どのようにコンサルティングファームでいかせるか?
- 大学での経験
- 社会人としての経験
- 入社後、どんなことをやりたいのか?
- 入社5年後にはどうなっていたいか?
- 将来的なキャリアパスはどう考えているか?
これまでの職務経歴は? / 大学では何に力を入れたか?
非常にオーソドックスな質問ですね。面接官が恐らく一番初めに質問する内容ではないかと思います。
質問されるときはこの質問の代わりに「簡単に自己紹介してください」と言われることもありますが、その時も社会人の方であれば職務経歴を伝え、学生であれば大学で行っていた学業とそれに加えもう一つ何かしらのエピソードを言うようにしましょう。
この質問に答えると、なぜなぜという質問がしばらくは続きます。
例えば、社会人の方であればなぜ今の仕事を選んだのか、であったり、学生の方であればなぜその学部を選択したのか、なぜその部活に入ったのか、ということを聞かれます。
言うまでもないですが、何かしらの想定質問への回答を準備した場合は、その回答に対して追加でされるであろう質問に対しても準備しましょう。
【社会人の場合】 ・新卒入社から現在に至るまでの社歴、職歴、業務内容を1分程度で説明する。 ・分量としては現在に近い時間軸の業務内容を主に説明する。 ・売上など数字を使用する。その際は、目標との比較でどの程度の実績なのか、 という数字も含める。 ・後続の質問で志望動機について聞かれるため、その際の回答の背景となる内容を 含ませる。 [例] 改めまして、〇〇と申します。私は、大学卒業後〇〇会社に入社し、 自動車会社向けの営業を担当しております。 入社後のはじめの4か月は研修期間として過ごし、その後半年間、新規顧客開拓の 電話営業を行いました。電話営業をしていた際は、全国の顧客に対して自社製品の 提案を行い、ご興味の度合いを探りつつ現地のパートナー企業と連携して受注までを 支援しておりました。この半年間での売り上げは3,000万円であり、目標金額の 107%達成となりました。 現在は、自動車の製造・販売会社を対象にサーバーの提案営業を行っております。 自社保有のサーバーを顧客の自動車設計・製造用途に使用して頂くためのPOC、 検証機の手配、エンジニアの手配を含む受注までの提案活動全般に関与し、また、 本提案にて考案した製品群の組み合わせをパッケージ化し、自動車会社への 横展開をすべくマーケティング部隊との戦略会議などを行っております。 今年度の売り上げは22億円であり、目標金額の104%達成となる見込みでおります。 簡単にではありますが、以上が職務経験となります。 【学生の場合】 ・大学生活での勉強のことと、それ以外の何かを説明する。 ・後続の質問で志望動機について聞かれるため、その際の回答の背景と なる内容を含ませる。 [例] - 理系+体育会系 改めまして、〇〇と申します。私は、〇〇大学にて、理工学部に所属しております。 大学生活では学業と部活動に力を入れて取り組んでおります。 まず学業についてですが、専攻は物理化学であり、卒業研究としては二酸化炭素の 分光特性を研究しております。こちらの研究はこれまでに学内で取り組まれたことの ない研究であり、研究室の手配、設備の購入や組み立てなど、来年以降も続く 研究室の立ち上げに取り組んでいる状況です。 次に部活動ですが、体育会系のバスケットボール部に所属し、副将を務めております。 現在は夏のリーグ戦に向け、チームのアイデンティティーである堅守速攻を確立すべく 練習メニューと筋力トレーニングを計画し、チームとしての成長度合いを測定しつつ 日々改善に向けたアクションを取っています。 簡単にではありますが、以上が大学生活で力を入れて取り組んでいる内容となります。 [例] - 文系+アルバイト 改めまして、〇〇と申します。私は、〇〇大学にて、経済学部に所属しております。 大学生活では学業とアルバイトに力を入れて取り組んでおります。 まず学業についてですが、ゼミナールでは日本におけるM&Aの件数及び取引金額の 推移を調査しております。少子高齢化が進み人口も減少している日本において、 経営資源の確保は企業の共通の課題であるため、M&Aという外部資源を取り込む活動を 研究し海外の事例と比較することで、現在の日本が直面している課題、そして 今後取り組むべき課題を特定することが可能と考えています。 次にアルバイトですが、私は消費者アンケートの協力を依頼するコールセンター業務を 行っております。消費者動向を理解することは経済の理解にもつながり、また 見知らぬ方々へアンケート協力のお願いのためにお電話をさせて頂く経験により 心臓が強くなりました。 簡単にではありますが、以上が大学生活で力を入れて取り組んでいる内容となります。
なぜ今転職活動をしているのか?
こちらは社会人の方が転職するときに回答する必要のあるものです。
よくあるのは、志望動機について聞かれ回答した後、「そもそもなんで転職活動をしているんでしたっけ?」と聞かれるパターンです。
志望動機を伝えた後で転職活動をするようになった理由を説明させられ、内容に食い違いがあったりすんなり通らない回答になってしまった場合、
「回答が論理的ではない」、あるいは「本当に考えたうえでコンサルティングファームに来たいと思っているのかな?」と面接官は疑問に感じてしまいますので、この質問には志望動機と整合するように準備を行いましょう。
同様に、今後将来像についてのイメージも聞かれますので、そちらとも整合するように理由を準備することが重要です。
今はここ。将来的にはあっちのほうに行きたいから、今のままではいけない。
こう考えた、というのが転職を考えた理由です、というのがすんなり受け入れられる話し方ではないかと思います。
【社会人の場合】 ・現職あるいは以前までの職務経験と紐づける形で、転職を考えた理由を説明する。 ・将来像のイメージに近づくためにも、転職が必要であると結論付けたと説明する。 [例] 私が転職を考えているのは、自社製品に依存しない形で、自分自身が お客様にとって最適であると信じるアイデアを提案したいからです。 現職では自社製品を顧客に提案・販売する法人営業を行っておりますが、 顧客に提案できるものが自社製品に限られることに窮屈さを感じるようになり、 顧客にとって最適な提案とは何か、より大きな視点に立って仕事をしたいという 思いが次第に強くなりました。 また、自社製品に頼った形での提案をするよりもむしろ、自分自身でアイデアを 出す仕事を経験することでビジネスマンとしての成長も期待できると考え、 この度、転職活動を行っております。
上記の例では成長のため、というフレーズを入れていますが、成長したいという思いを第一の理由として話すべきではありません。
よく言われていることですが、会社は学校ではなからですね。
実際には、成長したいという思いが第一でもOKです。
なぜコンサルティングファームなのか?
こちらの質問への回答としては、すでに上でも書いていますが、これまでの職歴や大学時代に力を入れたこととつながる形にすることが注意点です。
コンサルティングファームでは、もれなくダブりなく(MECE)話すことが当然求められるので、なぜほかの業界ではなくコンサルティングファームなのか?という説明をする必要があります。
コンサルティングファームがほかの業界と異なる点
面接官の立場としても違和感のない回答をするためにも、コンサルティングファームがほかの業界と異なると思われている点を以下に記載します。
これらを使うと、違和感のない回答ができるかと思います。
- 論理的思考を必要とする
- 第三者視点でビジネスにかかわることができる
- 複数業界の仕事にかかわることができる
- 多国籍なメンバーで構成されている
- 年次に関係なく成果を求められる (Up or Outの世界)
【社会人の場合】 [例] 私は、自社製品に依存しない形で、自分自身がお客様にとって最適と信じることの できる提案を行う仕事をしたいと思っており、コンサルティングファームへ転職すべき だと考えました。 コンサルティングファームの仕事は、自社製品を持っていないかわりに自分たちが 顧客に対して最適であると考えるアイデアを提供する仕事だと思っています。 私はこれまでの営業の経験から、最適解を見つけるためには利益相反のない第三者的な 視点に立つことが必要であると考えており、この点でもコンサルティングファームは 他の業界にはないポジションを確立しているため、コンサルティングファームへの 転職を魅力的に感じています。 【学生の場合】 [例] - 理系+体育会系 私はこれまでの大学生活では、特に部活動において結果を残すことに責任を持ち、 勝利につながるための施策を常に考え続けることに力を注いできました。 コンサルティングファームでは、年次に関係なく顧客の前ではその道の プロフェッショナルとして振る舞い、成果を残すことが求められ、他の どんな仕事よりも論理的思考が必要とされると考えています。 ビジネスの成功を目指して徹底的に考え抜くという仕事内容は、自分の これまでの大学生活と親和性が高く、また非常に魅力的であると思い、 コンサルティングファームを志望いたしました。 [例] - 文系+アルバイト 私はこれまでの大学生活を通じて日本経済について学んできましたが、 正直なところ日本経済の今後については不安を覚えます。そうしたなかで、 日本経済の発展に貢献する仕事をしたいと考えるようになりました。 そのため、特定の企業に入社するよりも、複数業界の企業にアプローチする 機会があり、かつ経営層の方々に対して戦略的パートナーとなることが 必要とされるコンサルティングファームで仕事をしたいと考えました。
ちょっと長くなってきたので今回はここまでにします。
次回は、以下続きから記載していこうと思います。
よくある質問
- これまでの職務経歴は? / 大学では何に力を入れたか?
- なぜ今転職活動をしているのか?
- なぜコンサルティングファームなのか?
- なぜうちなのか?
- これまでの経験が、どのようにコンサルティングファームでいかせるか?
- 大学での経験
- 社会人としての経験
- 入社後、どんなことをやりたいのか?
- 入社5年後にはどうなっていたいか?
- 将来的なキャリアパスはどう考えているか?