Consulting

BPM:ビジネスプロセスとは?その構成要素

突然ですが、皆様はビジネスプロセスとは何か、と聞かれてすぐに答えることが出来るでしょうか。少し、考えてしまうのではないでしょうか。

筆者である私は、コンサルティングファームで勤務するなかで多くの企業のお客様の業務改革やシステム導入プロジェクト、あるいはM&Aを通じた事業統合のご支援をしてまいりましたが、いずれにおいてもビジネスプロセスに対するマネジメントは重要な概念として認識されていました。

今回は、そもそもビジネスプロセスとは何なのか、ビジネスプロセスを構成する要素とは何なのか、解説していきます。

想定読者

  • 現在所属されている企業、部門、あるいはチームの現場の業務を改善したい、効率化したい方
  • 複数の組織を横断的にマネジメントし、仕事の仕方、働き方の改革を推進する立場にある方
  • ERPなどのシステム導入を通じて業務の効率化を考えている方

想定するメリット

  • ビジネスプロセスとはいったいどういったものか、説明出来るようになる
  • ビジネスプロセスを構成する要素がわかる

宣伝:Udemy でBPMの基本を解説しています。

UdemyにBPMの基礎の解説を行ったものを投稿しています。体系的にBPMを理解されたい方はぜひ、こちらもご検討いただけますと幸いです。

コースへのアクセスはこちら

ビジネスプロセスとは

そもそもビジネスプロセスとは何でしょうか。ビジネスプロセスとは、組織が顧客にたいして製品やサービスを提供するために行う活動全体、あるいは業務を指し、最終的に価値を提供していく一連のつながりや仕組みを意味します。

価値の提供先は顧客であり、イメージしやすいものは企業にとっての最終顧客等があげられますが、企業内部に顧客が存在するケースもあります。例えば、購買のビジネスプロセスであれば、価値の提供先は購買の要求元となります。このような顧客は内部顧客、あるいはインターナルカスタマーと表現されます。 このように、組織内部で完結する活動や業務もビジネスプロセスに該当します。

ビジネスプロセスを細かく分解していくと、何かしらのインプットを処理し、より付加価値の高いアウトプットを出力していることがわかります。こうしたインプットをアウトプットに変換する価値提供の仕組みがビジネスプロセスである、ということも出来る一方で、こうした価値提供の仕組みが連なることで構築されたより大きな業務の連鎖も同様にビジネスプロセスと呼ぶことが出来ます。

ビジネスプロセスを構成する要素

ビジネスプロセスは、業務の集合体であると表現できますが、細かく見ていくときにいくつかの構成要素に分けて議論することが出来ます。ここでは、その構成要素をご紹介します。

Eventは、ビジネスプロセスに含まれる一連のActivityを開始させるもの、あるいは修了させるものです。

ActivityあるいはTaskは、ビジネスプロセスに含まれる個別の業務、活動、仕事を指します。十分に単純化し、これ以上分けて説明することはあまり意味がない、というものをタスクと表現し、ある程度の集合体であるものはActivityと表現されます。

Gatewayは仕事の流れに対する分岐、枝分かれ、あるいは意志決定によって後続のビジネスプロセスが変化するポイントを指します。

Actorは、ビジネスプロセスの実行主体です。人間、組織、役割、あるいは機械やシステムなどもActorとなります。

Object、あるいはArtifactは、ビジネスプロセスの実行に関係するInputやOutput、または活用する設備などが含まれます。 主には業務を実施することで作成する書類、帳票などを取り扱いますが、これも物理的なものと、電子的なものに分かれます。

サンプル:受注から出荷までの流れ

参考として、一般的な受注から出荷までの流れを扱ったビジネスプロセスを例にとり、ここまででご紹介してきたビジネスプロセスの構成要素にはどういったものがあるかをご説明します。 まずはこのビジネスプロセスについて解説します。

初めに、社外の顧客がとある商品の購入を決定し、とある営業担当あてに発注書を送ります。営業担当はこの発注書を自社内で処理するため、受注伝票を起票します。

受注伝票は手配担当に連携され、手配担当は出荷の指示を出すために出荷伝票を作成し、出荷担当に送付します。

出荷担当は出荷伝票に記載された納品先あてに、注文された商品を送る手続きを取ります。商品を梱包した段ボールには、納品書が添付されています。

その後、納品書が添付された商品は、顧客のもとに届き、顧客は注文した通りの商品かどうか、受け入れ処理を行います。 このビジネスプロセスを、先ほどご紹介した構成要素の視点で見ていきます。

このビジネスプロセスを開始しているのは顧客による購入の意思決定であり、またビジネスプロセスを終了させるのは顧客への納品の完了です。したがって、Eventに相当するのは、購入の意思決定と、納品の完了となります。

ActivityあるいはTaskとなるのは、営業担当による受注伝票の作成、手配担当による受注処理と出荷手配、そして出荷担当の梱包、出荷作業です。

Gatewayとなるのは、顧客による注文品の受け入れ処理です。受け入れの結果として、受け入れの完了となるか、または商品の誤送に伴う返品となる、などの分岐が生じします。

Actorは、顧客、営業担当、手配担当、出荷担当といった人物たちです。

ビジネスプロセスをどのように記述するか次第ではありますが、仮に出荷後の輸送を普段から取引のある3PLなどに委託している場合は、そうした3PL業者もActorとなるでしょう。

Object/Artifactは、書類である発注書、受注伝票、出荷伝票、納品書、それと注文を受けた商品となります。仮に、受注伝票の登録等の作業にITシステムを活用している場合は、そうしたITシステムもObject・Artifactとなります。

以上が、ビジネスプロセスとはどういったものなのか、その構成要素のご紹介でした。

終わりに

いかがでしたでしょうか。ビジネスプロセスといっても、要素が複数あり、それらが組み合わさることでビジネスプロセスが出来ているのだ、という理解が進むと、これまでとは異なりきちんとビジネスプロセスが説明出来るようになるのではないでしょうか。

また、BPM関係で投稿をしていきたいと思います。お付き合いいただきありがとうございました

-Consulting

© 2024 Soloblog - ITコンサルのざっくり解説 Powered by AFFINGER5