今回は、Projectが始まる理由の主なものについてまとめていきます。
Agenda
プロジェクトの理由
プロジェクトは何の理由もなく始まりはしません。組織における戦略的な目的、あるいは理由に基づき、プロジェクトは開始されます。複数の理由が存在することもありますが、それらの理由は主に以下のようになります。
- 市場の要求への対応
- 事業上の必要性、機会への対応
- 社会的な必要性
- 環境問題への対応
- 顧客の要望
- 技術革新
- 法令対応
- 競合への対処
- 資材に関する問題への対応
- 政治変化
- 経済の変化
- ステークホルダーの要望
- 業務改革
市場の要求への対応
市場における特定の製品やサービスに対する需要が高まった状態であり、当該製品はサービスを提供する体制を整えることが組織にとって十分に取り組む価値があると見込まれる場合は、プロジェクトを立ち上げるうえでの理由となります。
例:スマートフォンやタブレット端末の需要の高まりに伴い、同様に供給が必要となる小型CPU、メモリ等の製品開発プロジェクト
事業上の必要性、機会への対応
組織内部の方向性がプロジェクトの理由となるケースです。全社戦略などのレベルで新たな事業を創出する、あるいはビジネスチャンスを求めるという目的でプロジェクトが立ち上がるということもあるでしょう。(こういった戦略もさらに元をたどれば他の理由が見つかるのでしょうが・・・)
例:5年間で売り上げ規模を2倍に成長させるという事業目的に向けた戦略検討プロジェクト(M&A等)
社会的な必要性
社会的な必要性を理由とするプロジェクトは、その多くが政府、地方公共団体やNGO、慈善団体によって行われます。教育関係、医療関係、などが目立ちますね。
例:WHOによる新興国の子供たち向けのワクチン提供プロジェクト
環境問題への対応
近年は環境問題への対処を通常の企業でも求められます。(CSRとか)温室効果ガスの削減や、水質改善などを目的としてプロジェクトが発足されるケースが多い印象です。
例:温室効果ガス削減を目的とした植林活動プロジェクト
顧客の要望
特定の声の大きな顧客による要望がそのままプロジェクトになることもあります。あるいは、単純にプロジェクトを受注したケースもここに含まれます。
例1:建設会社による建設プロジェクトの受注
例2:売り上げ規模の7割を占める大口顧客の自動車会社向けに特注で生産する特殊軽量フレーム製造プロジェクト
技術革新
かつては実現できなかったことが技術革新により可能となった場合、じゃぁやっちゃいましょう、ということでプロジェクトが始まることもあります。
例:RFIDを用いた倉庫の自動管理化プロジェクト
法令対応
新たに政府などから打ち出された法令への対応のためにプロジェクトが立ち上がることもあります。一番モチベーションが上がらないやつかもしれませんね。
例:軽減税率対応のための自動税計算システムの導入プロジェクト
例:収益認識基準変更に伴う会計システム刷新プロジェクト
競合への対処
競合が新たな製品を開発、あるいは戦略をとったことでシェアが大きく変わりそうなときなど、負けじと何かしらの戦略を打ち立て、プロジェクトを発足させることがあります。
例:競合他社の販売する通信機器が新規通信規格に対応したことをうけ、自社でも同様に対応を進めるためのプロジェクト
資材に関する問題への対応
これまでに製造に使用していた資材のコストが高い、品質が悪い、などの問題が散見されたことを踏まえてのよりよい資材への変更を図ろうとする、などのプロジェクトのことですね。
例:これまでに使用していた自動車のエアバックシステムに欠陥が見つかったこと位伴う、新規エアバックシステム供給企業の選定プロジェクト
政治変化
政党の変化などによってプロジェクトが発足することもあります。必ずしも変化が起きたときにしかプロジェクトが立ち上がらないわけではないですが、変化があった後の動きというのはやはり注目されますよね。
例:郵政民営化、国民への給付金配布
経済の変化
経済情勢の変化にともなってプロジェクトが始まることもあります。景気が悪いときは融資が活発になるので建設が流行ったりしますね。
例:景気の回復に伴い、景気停滞時に検討を中止していたM&Aプロジェクトの再稼働
ステークホルダーの要望
これは、オーナー企業とかでよく起こるものでしょうか。未来を見ている経営者が、早期にIT化を進めたり海外進出を図ったりするのは一例かと思われます。現場の人々が理解を示していない状況ですとプロジェクトの雰囲気は最悪になりかねないですが・・・
例:海外への工場移転プロジェクト、海外個社の基幹システムのグローバル標準化プロジェクト
業務改革
いわゆるBPRですね。倉庫内のレイアウトが悪くて同船に影響があり業務効率が低い、などの事象が発生している場合は業務効率アップを求めて業務刷新をする必要もあるでしょうし、あまりにヒューマンエラーが起こりやすい業務などは品質向上のために業務そのものの改革が必要になったりします。
例:業務オペレーション、マニュアルの刷新プロジェクト
終わりに
プロジェクトの開始理由、いろいろありますねー。私はシステム導入プロジェクトの経験が長いのですが、正直、プロジェクトの開始理由を意識したことはあまりありませんでした。
日々の業務をいかに完了させていくかというところに目が行きがちですが、プロジェクト開始の理由をきちんと理解しておくことはプロジェクトにおける各種判断の際の軸になるはずなので、ここは明確に抑えておく必要がありますね。
ただ、ぶっちゃけ、お客様も含めて、システム導入プロジェクトに関しては理由や目的を理解して関与している人間が少ないんじゃないか、というのが所管です・・・
参考にしてみた書籍
以下に、参考にしてみた書籍を載せています。こちらの書籍は、PMPとして25年以上活躍され、プロジェクトマネジメントに関して30,000人以上もの人材をIndustry問わず輩出してきているPM-Pulse創設者のManeesh Vijayaさんです。