さて、今回もProject Managementについて学んでいきたいと思います。今回は、Programについてまとめていきます。
Agenda
Programとは
Project Managementにおける、Programとは何でしょうか。PythonだとかABAPだとかそういったもので書かれたコードにより動作するIT的なもののことではありません。
Program=複数のProjectの集合
Programとは、複数のProjectから構成されるグループのことであり、特に、相互に関係しており、かつ、とある戦略的目的の達成を目標としているProjectのグループのことを指します。
ProjectとProgramの違いは、組織の戦略的な目標との距離感にあり、単一のProjectよりもProgramのほうが組織の戦略的目標達成に直結しています。
例を挙げてみましょう。とある組織が、戦略として「日本中を瞬時に行き来できる交通手段を他社に先駆け確立し、市場のシェアを取得する」と掲げていたとします。これに伴い、「日本列島を横断する新幹線を運行する」というProgramを打ち立てたとします。
このProgramは単一の管理主体が管理していくには規模が大きすぎるので、実際には複数のProjectへと分解されます。
- 車両の製造プロジェクト
- 線路の開通プロジェクト
- 電力網の供給プロジェクト
- 駅の新設プロジェクト
- ITシステムの構築プロジェクト
このように、複数の、同じ戦略的目標を持つ、相互に依存関係を持つProjectたちによって構成されるのが、Programとなります。Programを構成する一つ一つのProjectは、当初の組織の戦略的目標とは少々離れている点がわかるでしょう。
最初はProjectだったものがProgramになっていくことも
ProgramはProjectの集合体、というお話をしましたが、場合によっては当初はProjectだったものが複数のより細かなProjectに分解され、結果として複数のProjectを束ねるものとなったことでProgramという扱いに昇格した、というケースもあり得ます。
分解の理由は色々あり、明確ではないケースも
この分解の理由は、リソースが多く必要になったので一人のProject Managerでは管理しきれなくなったため分解した、といった理由などもあり得るので、途中からProgramとProjectの関係が出来上がるというケースもあります。
Digital Transformationを遂げたいという目標に向かってシステム導入を検討していった結果、基幹業務、CRM、物流管理、人材管理、文書管理、連結、とそれぞれ異なるシステムを用いることになったためにこれらの機能別にProjectが出来上がり、すべてを統率するProgramが出来上がる、ということもあります。
Programの目標=Projectすべての成功ではない
Programが成功裏に完了し、戦略的目標が達成されるためにはProgram内のProjectはすべて成功しなくてはいけないのでしょうか。
答えは、必ずしもそうではありません。Programの成功に必須なProjectの成功もあるでしょうが、実は中止しても問題のないProjectというものもあります。
たとえば、先ほどの例でいえば、新幹線を製造するというProjectがありましたが、自社のリソースでは開発に時間がかかりすぎるということがわかったため当該Projectを中止するという選択をしたとしても、代替案として外注するという選択肢が考えられます。この代替案を選択したとしても、Programの目標は達成が可能なのです。
したがって、必ずしも全Projectの成功がProgramの成功に必須な条件ではありません。
終わりに
ProjectとProgram、関係性はまぁProjectの親がProgramって感じですね。ここはわかりやすかったと思います。
Projectには、Project Management Office (PMO)というサポート体制があり、ProgramにはProgram Management Office (PGMO)というサポート体制があることが一般的です。
PGMOという言葉を見て、当時Programの概念を知らなかった私は、Global Project Management Officeのミスか?と訝しんだものです。知らないって怖いですね。
参考にしてみた書籍
以下に、参考にしてみた書籍を載せています。こちらの書籍は、PMPとして25年以上活躍され、プロジェクトマネジメントに関して30,000人以上もの人材をIndustry問わず輩出してきているPM-Pulse創設者のManeesh Vijayaさんです。