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元M&Aアドバイザリーの学び直し – コストアプローチの進め方(修正純資産法)

前回の投稿では、コストアプローチの基本的な概念と、簿価純資産法と時価純資産法の違い、さらに修正純資産法について触れました。
本投稿では、修正純資産法についてもう少し深堀りをしていきたいと思います。実際に修正純資産法を行うときに作成するレポートのイメージ、またどんな項目が時価評価しなおす対象になるのか、といった点を整理していきます。

修正純資産法のレポートイメージ

以下に、修正純資産法に使用するレポート、そのなかでもワークシート(計算過程を示すもの、Excelで作られる)を示していきたいと思います。

数値などは適当なものにしていますので意味はありません。数式について説明を加えていきます。

実績(a)の列は、BSの情報をそのまま持ってくるだけです。

修正純資産法では、簿価のままではよろしくない、と企業価値評価の観点で判断されるものを時価に修正していきますが、これが評価損益(b)の列の記載となります。

時価に直すことで収益あるいは損失としてみなされるものには税効果がかりますので、これが列(c)に記載されています。
(収益とみなされるのであれば税金がひかれ、損失とみなされるものは税金の控除につながる)

上記画像の中で触れているものもありますが、時価に直すものは大体以下の通り。

  • 機械・装置(設備のこと)
  • 土地
  • 人的資産
  • 知的財産

人的資産についてですが、この項目はBS上に本来は記載されないもので、修正純資産法における計算の上で便宜的に記載しているものとなります。そのため、時価算出の前はゼロ円という記載になっています。((a)列がゼロ)
また、時価算出した結果をプラスしていますが、このプラスは収益ではないので税効果は発生しません。 ((c)列がゼロ)

人的資産の評価イメージ

機械・設備、土地や知的財産は、それらを評価する専門家がいますので、M&Aの場面などではそういった方々に依頼することで評価レポートを受領します。残念ながら私はそうした人たちではなかったので、ここでは残りの人的資産の評価について書いていきます。

人的資産はどのように評価するのかというと、給与、採用コスト、トレーニングコストを算出し、これらを用いて一から採用して、トレーニングして、さらに給与を払うとした場合のコストとする考え方が一般的だと思います。

人的資産=年間給与+年間採用コスト+年間トレーニングコスト
※従業員のカテゴリー別に計算する

ワークシートでの計算方法としては、以下のようなイメージです。

採用コストは、転職エージェントなどに払うコストですが、カテゴリー(役職)ごとの給与(賞与を除く)に、採用期間(年数ベース)をかけたものになります。
トレーニングコストの計算はちょっとややこしいかもしれませんが、本来の生産能力(100%のパフォーマンス)に対してお支払いする給与と実際の生産能力の差額を、生産能力が100%になるまでの期間で平等に分けていくようなイメージです。

知的財産権については、すみません、わかっていないのでかけないです・・・
1件500万円、などと根拠不明で見積もられているレポートを見たことがあるのですが、あれは何だったのか・・・
時間のある時に確認してみたいと思います。

コストアプローチについては、以上です。
次のM&Aアドバイザリーの学び直しとしては、マーケットアプローチについて書いてみようと思います。
しばらくは旅行に行くので、その関係の投稿が多くなると思います。

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