Agenda
コンサルに戻ります
こんにちわ。今回は、半年勤めたスタートアップ企業を離れ、コンサルティングファームに戻ることになりましたのでその経緯と、事業会社で久しぶりに働いてみた結果として感じたコンサルでしか出来ないことについて書きたいと思います。
いやー、ほんと、20代ですでに経験社数が5社になるのはさすがに多い、と感じますね。しかし、どの転職にも後悔はありませんしやってよかったとは思っていますのでポジティブです。
転職の背景
この半年、私はスタートアップ企業で働いていました。主な仕事内容としては、IPOを目指す上で必要になる内部統制を実現するための社内のルール整備、業務プロセス整備、システム整備、そしてシステムを活用した数値的な分析作業でした。
経営状況の悪化、構築した社内ITはもはや不要に・・・
結果としては、入社時の売上見込みと実績に相当の乖離が発生し、経営状況は悪化、IPOは無期限延期、IPOに向けた外部委託は全て打ち切り、社内システムは作り上げたもののそこまで統制をかける意義が存在しないため、もはや使用する意味が無いという状況に。
私はFP&A的な仕事もしていたのですが、分析対象はコストしか存在せず、分析をする売上が存在しない、という誠に残念な状況になってしまったのです。
コンサルだから出来たことに気付く
経営状況の悪化も今回の転職理由の一つですが、もう一つ理由があります。
それは、コンサルを離れたことで、コンサルでしか出来ないことを再確認したからです。
業務整備や改善、システム導入や、数値分析は以前にもコンサルでやったことはありましたが、コンサルでやるのと、事業会社でやるのとでは同じ行動でもやりやすさ、それと自分がかかわることができる、もたらすことができるインパクトがかなり違うことを実感しました。
「もう一度、コンサルに戻って、顧客に対して確かな価値提供を行いたい。」
そう考え、コンサルに戻る決断をしました。
コンサルだから出来たこと
それでは、私個人の体験に基づいた、コンサルでしか出来ないことについて書きたいと思います。
顧客からのコミット
ひとつは、顧客、あるいは周囲の人員からのコミットをもらえることです。
協力を得られるかどうか、あるいは相手に強制力を効かせられるかどうか、という観点になります。
今回、事業会社の中で業務整備やシステム整備をしてみた中で感じたのは、「なんでこうも非協力的なのか」、という点でした。
検討は抜け漏れなく行い、資料は社内でも一番と言われる程美しく仕上げ、ご判断頂きたいポイントも明確に記述しているにも関わらず、提案相手である社内の他部門のメンバーは 首を縦にも横にも振らず「持ち帰り検討する」と言って持ち帰り、その後再三のリマインドをしても検討が進まないどころか忘れ去られてしまう。
この理由は、プロジェクトマネジメントの基本で言えばプロジェクトメンバーとしての共感を得られていなかったからでしょう。
日々、製品開発や営業、マーケティングなどの実務をしているなかで自分が関与する仕事だとは認識していない件で打ち合わせに呼ばれ、今まで気にしたこともなかった仕事内容について「ここをこう変えたいと思っています、方法は3つあります、おすすめはこれですがそれで良いでしょうか」と聞かれても、「うーん、とりあえず後で。」と思うものなのでしょう。
当事者意識のない人に対して、判断を仰ぐのはナンセンスだということですね。
一方、コンサルの場合はプロジェクトを発注しているのが経営層であることが基本であり、受注している時点で、顧客側にもコンサル側にも組織だったチームがつくられ、メンバーが配置されます。各チームの役割は明確に記述されプロジェクト開始時に経営層からアナウンスされるので、責任範囲は明確になり、当事者意識は当然芽生えます。
もちろん、コンサルタントを使うにあたりかなり高額な費用をかけているので、それもあり「プロジェクトは成功させないと」という思いが強くなります。
これにより、プロジェクト関係者は「これは自分に関係する仕事であり、自分の責任になるのだから仕事が前に進むように協力しよう。高い金を払っているし。」と考えるようになるわけです。
別の言い方をすれば、強制力を生むことができます。
事業会社でも出来ないわけではないですが、トップが主導していること、という条件がつき、これがなかなか出来ない、というのが実態でしょう。
コンサルが入ることでプロジェクトが発足し、顧客とコンサルタントで一体となって同じ目的に邁進する体制を組むことで迅速に効果がもたらされる、これが、いわゆる触媒効果でしょうか。
企業に変革をもたらす、そのために自分が主体的に周りを巻き込んでいける、という点では第三者として関わるコンサルタントの方が有利だと感じました。
正しいことを当然のように推進できる
次に、正しいことを当然のように進められるという点です。
事業会社で久しぶりに働いてみて感じたのは、「その通りなんだけど」、「とはいえ」、という言葉の多さです。
仕事の進め方や、資料の形式、組織としてのあるべきなど、あらゆるところで本当はこうじゃないですか?と質問を挙げると、この返答が返ってくるのです。
「その通りなんだけど、今の状況を踏まえると、やり直すわけにもいかないから、このままで進めるよ」
例えばですが、継続的にメンテする資料などは誰がみてもすぐに内容が分かるように、メンテの方法が分かるようにするべきです。
私個人の例では、FP&Aの業務を担当したとき、それまでに使用していたエクセルファイルはそのまま使用して欲しいと言われたのですが、これが超属人的な仕様になっており、色使いのルールが統一されておらず、パラメータがどこにあるのか、結局何が言いたいのかなども一見して分からないものになっていました。
FA時代に私が慣れていたフォーマットに作り替えましょうか、と提案してみたところ、「そのほうがいいのはわかるんだけど、そうすると私が分からなくなるし、新しいフォーマットに慣れるまでの時間がもったいないからとりあえずこのままで」という返答があり却下。
「これだと作成者は意味がわかるかもしれませんが、マネジメント層や各部門のリーダーからしたら何を示しているのか分かりませんよ、変えるべきでは?」と提言するも返答は変わりませんでした。
自分が慣れているフォーマットが変更されることに耐えられないのでしょう。
これが外部コンサルタントだった場合は、クライアントも変化という痛みに耐える覚悟が出来ています。正しいことなのであればぜひやろう、というスタンスを持ってくれています。私が外部のコンサルタントだったら、この提案に対して「ぜひやってくれ」と言われていたのではないか、と思います。
別の例を挙げると、販売計画として提出されたものをレビューしていたときです。製品の提案先の社名が書かれていないところを指摘し、計画を精緻にするため、販売戦略および具体的なアクションプランを検討するためにも販売相手は企業名レベルで明確にイメージしておき戦略を練るべきだと提案したところ、これも却下。
理由は、「営業にこれ以上工数をもらうことは出来ないため」というものでした。営業がどこに、何を、いつ売る、を明確にイメージ出来ていない会社に未来があるとは思えず食い下がりましたが、これも無駄でした。
本件は、そうした中途半端な販売計画でよしとする経営層の問題でもありますが、社内の一人のマネージャーとして提言をしても取り入れてもらえる限界を見た気がしました。
何かを変えるときには、変化を嫌う人たちからの反発は必ずあります。しかし、コンサルの仕事は変化を推進していくことであり、クライアントもそれを期待しています。
従って、コンサルを使っている場合は顧客側にも変化に対しては柔軟になろうという気持ちが生まれているため、コンサルタントは正しいことを当然のように提言することが出来、そして導入に向けて推進できるのです。
これもまた、絶対に事業会社では出来ないというものではありませんが、コンサルの方が圧倒的にやりやすく、自分が関わりつつどんどん進めていけます。
こうした土壌が整った状態で仕事を進められるのはクライアントからの期待が大きいからであり、当然求められるレベルも高くなります。ただし、そんなことは承知の上なので問題にはならないと考え、ITを使った企業変革を短い期間のなかでスピード感をもちつつ、自らがけん引する形で進めることができるポジションとして、私はコンサルに戻ることを決めました。
おわりに
いやー、流石に20代で4回転職するとは思いませんでした。
もう、次のファームでパートナーかディレクター目指すのがいいんじゃないかと思ってきています。今まで出世のこととか考えたこともなかったのですが、一つの会社を登ってみるのもいいかもしれないですね。