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【コンサル解説まとめ】業務概要解説、関連記事のまとめ【業務視点の販売管理】

こちらの投稿では、現在コンサルで業務プロセス設計およびSAP導入をしている投稿者が、販売管理業務の概要解説投稿のまとめを行っております。他にもSAPにおけるSCM領域の記事を投稿しておりますので、気になる方はSCM関連記事のまとめをご覧ください。

また、こちらの記事は業務よりの目線で記述していますが、よりSAPの目線で購買管理について確認されたい方も同様に関連記事をご確認ください。

本投稿の想定読者

  • SAP導入プロジェクトで販売管理領域を担当されるコンサルタント、システム部門の方
  • SCM領域のうち、特に販売管理領域について知りたい方

期待できるメリット

  • 販売管理領域における業務プロセスがわかる
  • 販売管理領域のプロセスフローのサンプルが見れる

この記事を読まれた方向けの関連記事まとめ

以下に、販売管理の一般的なシナリオや、ちょっと特殊なシナリオなどをまとめた記事へのリンクを掲載致します。ご興味のある方は確認して頂けたらと思います。

販売管理とは?

販売活動を管理すること

販売管理とは、何でしょうか。

言葉の通り、企業の販売活動を管理する業務です。販売というのは、自社の製造した製品や、仕入れた商品を販売する、あるいは自社の人員がサービス提供を行う、または自社で持っているITサービスなどのライセンス等を販売する行為です。こうした販売に関連する活動を、初めから終わりまで管理することを販売管理といいます。企業によって、さまざまなシナリオがありますが、以下のようなものが販売管理の対象となる、販売活動です。

  • 商社が商品を仕入れた後、顧客に販売する
  • 自動車の製造会社が、自動車を製造し、顧客に販売する
  • ITベンチャー企業が開発したソフトウェアのライセンスを、顧客に提供する
  • コンサルティングファームが、顧客からプロジェクトを受注し、サービスを提供する
  • 建設機器メーカーが建設機器を、建設会社へレンタル品として提供する
  • お菓子メーカーが顧客企業のオフィスへお菓子を補充しておき、お菓子の減り具合に応じて請求をする

販売活動は企業によって千差万別で、様々な分類分けが可能となります。

受注して終わりではありません、請求まで管理します

販売管理というと、売ることだけ、すなわち受注することだけに焦点が当たりがちですが、販売管理が対象として管理するものは、受注だけではなく、出荷指示、出庫、その後の請求までとなります。

受注したものは、きちんとお客様に提供していくことで最終的には請求し、収益認識をし、入金まで追いかける必要があります。入金がないと、企業として操業し続けることが出来なくなってしまいますので、受注の後の状況まできちんと管理し、今どういった状況にあるのか、という点を把握するという点も販売管理の重要な役割となります。

販売管理の目的

効率化、統制、リスク管理、収益/キャッシュフローの可視化

なぜ販売管理をする必要があるのか、と言いますと、それは販売に係る一連の活動を効率化し、企業内で統制(ガバナンス)をかけたり、リスク管理をするためです。

まず、お客様が発注してくれた、つまり受注した場合に、その後どういった処理を進めていくことでお客様に対して在庫を出庫する、あるいはサービス提供の場合はサービス提供者のスケジュール等をブロックしていくのか、といった手順がなかったとすると、とあまりに非効率です。

誰がどこの誰に対して連絡するのかとか、受注するたびにイチから確認して対応をするのでは、営業の担当者としても、社内のセールスオペレーションといった部門の担当者としても非常に疲れてしまいます。

販売管理がきちんとされていると、必要な情報を受注時に確認しておくことが出来ていれば、あとは半自動的にプロセスを後続のステップに進めていくことが可能となります。

また、販売管理がきちんとされると、今どこまでプロセスが進んでいるのかがわかります。

在庫を販売するというケースであれば、お客様に対して出荷する予定の在庫は既に用意が出来ているのか、用意は出来ていていつ出荷するといった予定まで組まれているのか、配送業者まで決まっているのか、予定の到着日付はいつなのか、といったどこまで処理が進んでいるのか、という点が把握できます。こうした情報は、営業の担当者が顧客とコミュニケーションをとるときに非常に役立ちます。

加えて、販売管理をすることは統制やリスク管理の点でも重要です。

販売管理がきちんとされていない状態ですと、Aさんが自宅宛てに自社の製品を発送し、請求先はどこかの適当なお客様にしておく、そしてAさんはお金を払うことなく自社の在庫を手に入れる、といったことが可能になってしまいます。あるいは、支払い能力が無い顧客に対して製品を販売してしまい、あとになって入金がされなくなってしまう、という問題が発生する可能性もあります。販売管理をきちんと行うと、こうした問題が起こらないように統制をかける、リスクの管理もできるわけです。

さらに、販売管理の重要なポイントとしては、いつお金が入ってくるのか、という収益とキャッシュフローの可視化が出来るようになる点も挙げられます。販売管理を行うことで、販売行為それぞれに対して、いつ収益が計上されるか、そして入金がされるのか、という点をきちんと管理しておくことが可能となります。

販売管理は、企業が操業し続けられるようにするために必要な情報を取り扱う、非常に重要なプロセスであることがお分かりいただけるでしょう。

販売管理のプロセス、ステップ

受注、出荷指示、出庫、請求

以下の図をご覧ください。非常にざっくりとした説明ですが、営業~販売に関連する流れを記載しています。詳細にみていくと各企業で差異が生まれますが、大きな視点で見るとこの流れになるのはどこの企業でも同じです。

販売管理は、この一連の流れのうち、受注伝票の作成から請求書の作成までを管理対象として取り扱います。

一般的に引き合い管理、商談、見積もり管理は販売管理には含まない

受注伝票の作成以前に、この図では3つ、プロセスを書かせて頂きました。引き合い登録、商談、そして見積書の作成です。

一般的に、販売管理の対象業務にこれらのプロセスは含まれないのですが、販売管理の対象業務の概要説明のために、前段に位置するこれらのプロセスについても解説をさせて頂きます。必要ない方は、スキップして頂ければと思います。

引き合い登録:Pipeline登録、Lead登録、Opportunity登録ともいう

引き合い登録というのは、今後、このお客様に商品や製品が売れるかもしれない、という機会がどれだけあるのか、というものを管理するために情報として登録しておくステップを指します。

営業さんは日々、見込み顧客のX社に、商品Yが、いつ、何個ぐらい売れるかもしれない、という情報をリストとして持っておき、それらを実際に受注につなげるように努力していく、という活動をされています。

ここでリストにする販売機会のことを、引き合いと言ったり、パイプライン(Pipleine)、リード(Lead)、オポチュニティ(Opportunity)と言ったりします。

より厳密にいうと、確証の度合いがかなり低い状況、例えばセミナーに来てくれた人にアプローチしたら興味を持ってくれるかもしれない、といったものをリードとして管理しておき、簡単に会話してみて興味を実際に持ってくれたら少し確度が上がったものとしてパイプライン、そして詳しく話を聞いてみると予算が取れていて、いつ頃欲しいと思われているのか、といった情報も詳しく決まっていることが確認できた場合は売れる可能性が高いのでオポチュニティと呼ぶ、などの分け方をしている企業もあったりします。

そういった呼び名は面倒なので、いずれもオポチュニティという名前で呼び、確証度合いをレベルで分けて読んでいる、といった企業さんもいます。

商談

引き合い登録のところで既に一部お話ししましたが、引き合いに対して、お客様へのヒアリング等を行うことで、販売出来るのか、受注できるのか、といったことを営業さんが確かめます。これを商談と言います。

商談では、単純な確認作業だけではなく、予算があるのか、必要な数量や仕様はどういったものか、求められている製品の構成はどんなものなのか、支払いの条件はどうするか、といったお話を詰めていくこととなります。

商談を、内勤営業と外勤営業で分担して実施しているお客様も最近は増えてきました。情報が集まり切っていない状況では内勤営業さん、つまり電話営業の方が情報収集に努め、ある程度情報が集まり、確度も高くなってきたら、外勤営業さんにバトンタッチする、ということもかなり一般的になってきましたね。

見積書の作成

商談がある程度終わると、では実際いくらになるのか、という金額面のお話になります。

もちろん、商談の終わりごろではなく、初めの段階で、お客様から見積書をを求められるケースもあります。営業の立場としては、価格がどの程度になるのかを計算するためには詳細に話を聞かせて頂かないと、と思うところなのですが、お客様の立場としても詳細な話に移る価値があるかどうかをまず知るためにも価格感を知っておきたいと考えるもので、そうした場合は営業さんは簡易見積書を出すことになります。

簡易見積書は、あくまで簡易的なもので、企業として正式な承認がされたものではありません。

一方で、商談の終わりに近づいた時点では、営業さんが詳細にヒアリングした情報を基に、企業として正式に認めた見積書を出すことになります。この見積書をお客様は受け取り、発注するかどうかを検討します。

お客様が発注することを決めてくれた場合、営業さんは受注締結、そして以降の販売管理の対象業務が始まります。

受注伝票の作成

営業さんが、受注してくれました。あるいは、eコマースだったりすると特に営業さんがいなくても一般消費者さんが発注してくれるというケースもありますが、とにかく受注したとしましょう。

最初に行うのは、受注伝票の作成です。英語では、SO:Sales Orderと表現します。

営業さんが個別に存在していて、商談をするというビジネスモデルの場合は営業さんが受注伝票を作成することになります。しかし、eコマースや通販などで営業さんがいなくても受注する場合は、お客様がWEBポータルやWEBサイトから発注をしてくれることで、受注伝票が自動で作成されるように仕組みを作っておくことが出来ます。

いずれにせよ、受注伝票には、いつ、どこの誰が、何を、いくつ、いくらで購入してくれた、そして支払い条件はこうなっている、といった情報を記録することになります。

ここで作成された受注伝票は、詳細を確認されることになります。販売管理の目的として、リスク管理があるということを述べさせていただきましたが、もし販売を行う相手の企業に支払い能力が無い可能性が示唆される場合、または信用リスクがある場合は、受注伝票の作成時点で本当に売っていいのか?という確認作業をすることとなります。なお、企業やビジネスモデルによってはこうしたチェックはもっと早い段階で実施するケースもあります。

出荷指示の作成

受注伝票が作成され、信用リスク等の問題がなかった場合は、後続のステップである出荷指示の作成が行われます。

ここでは、在庫を取り扱うビジネスをイメージしてください。在庫がある場合は、それを目的地であるお客様の納入先住所に向けて発送する必要があります。そのため、在庫を管理する倉庫部門などがいつ出荷するか、どの配送業者に依頼するか、この他にもどの在庫の発送と合わせてトラックに乗せるか、ということを考えることになります。

こうした輸送計画を作成するために、出荷指示が必要となります。

出荷指示書は、英語ではOBD:Outbound Deliveryと表現されます。

出荷指示書には、何を発送するのか、いつ発送するのか、いつどこに届けてほしいのか、発送先の住所はどこか、といった情報が記録されます。

なお、在庫が存在しないビジネスの場合、例えばサービスの提供や、ソフトウェアのライセンス提供のビジネスでは、出荷指示書は作成されません。サービスであれば受注伝票の情報に従って、いつごろからサービスを影響するかといった計画作業が始まり、ライセンスの提供であれば受注伝票に記録された利用開始日時から利用が出来るように社内で準備が進んでいくように仕組みを整えていることが一般的です。

出庫

出荷指示書の作成がされ、実際に発想がされた場合は、出庫という処理を行います。

出庫は、英語ではGI:Goods Issueと表現されます。

サービスの提供や、ソフトウェアのライセンス提供の場合は出荷指示書の作成はスキップされるということをお伝えしましたが、実際にサービスやソフトウェアのライセンスが提供された、という事実を記録しておくためには出庫の処理というものは実施されます。

この出庫処理の有無によって、企業側が受注した契約に対して、果たすべき処理・責務が完了しているかどうか、という記録が残ることとなります。

取り扱うものによって、何をもって出庫処理を行うかは異なります。

在庫がある場合は実際に倉庫を出ていった時点で出庫処理を行いますし、サービスであればサービスの提供を終えて、お客様から確かに受け取った、品質も問題ない、ということを言ってもらったときに出庫処理をします。ソフトウェアライセンスの提供では、利用可能になった時点で出庫処理をします。これらは一般的な企業の場合の話なので、実際には企業によって取り扱いが異なるケースもある点にはご注意ください。

請求書の作成

出庫も完了し、在庫は届けられた、サービスは提供された、ソフトウェアのライセンスも提供されてお客様にとって利用可能な状況になっている、という状況になれば、次は請求書の作成を行います。

請求書の作成は、英語ではBilling、Billと表現します。そのままですね。

請求書には、誰に対する請求なのか、何に対しての請求なのか、いつまでに入金してほしいのか、どこに入金してほしいのか、という情報が記録されます。

金額や、いつまでに入金してほしいのか、といった情報は事前に商談の際に完了しており、受注伝票の作成時にはそうした支払い条件が定義されています。

月末までに一括で入金してほしい場合もあれば、毎月同じ金額を契約期間に応じて支払ってもらうこともありますし、利用実績に応じて請求金額が変わる、という形態もあります。

あとは、請求書に対して支払いをしてもらうというステップに移っていくのですが、もし入金が遅れるとなった場合は営業さんや入金管理の部署が個別に顧客をフォローする、といった仕事が始まります。こうした後続のプロセスは販売管理の対象業務に入れないことが一般的であるため、割愛させて頂きます。

終わりに

以上が販売管理の業務プロセスの概要でした。この他にも、販売管理のシナリオのまとめや、各シナリオのプロセスフローなどをまとめていますので、ご興味のある方はまとめ記事のほうから確認して頂けますと幸いです。

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