SAP/IT

【SAP】購買要求/Purchase Requisition Item Overview 項目説明 - ①

皆さん、どうですか、SAP触ってますか?
私は全然です。いつかSAP導入プロジェクトに再びかかわる日を夢見ています。

この投稿では、記憶を頼りにSAPのPurchase Requisition のitem overviewの項目について解説を行なっていきます。

Item overview の内容はユーザーが画面に必要だと思う項目、そうでない項目で画面に出すか出さないかを決められるので、

一概にはこれがitem overviewにある、とは言えないのですが、標準ではこれらが画面に出ています、という内容を説明していきます。

後ほど、item detailsの項目説明も行なっていきますが、一部はそちらと重複します。

【SAP】トランザクションデータの構造と購買要求解説

想定読者

  • SAPプロジェクトにアサインされた事業会社の方、コンサルタントの方
  • 購買管理にSAPを使っているものの項目が多くてよくわからん、という人
  • 社内のシステムにSAPを検討している人

想定メリット

  • 購買管理に使用する項目の意味、用途、指定方法がわかる
  • 項目定義書、マニュアルを作成する際に参考になる
  • SAPは社内のシステムとして利用できるのか判断材料になる

Item Number of Purchase Requisition

意味: PRのitem, 明細を特定するための識別番号
用途: PRをitem単位で識別する、状況確認をする、追跡する際に使用する

Data: NUMC
Length:5
Technical Name:EBAN-BNFPO

こちらは名前の通りです。
PR:Purchase Requisitionに対する、Itemの番号ですね。

PRに複数紐づいたItemを指定する際の識別番号

PR:Purchase Requisitionには、複数のitemが紐付くことがあります。

購買要求は一つでも、同じタイミングで別のものを買いたい時などはありますよね。

Amazonの例で言えば、購入のタイミングは一度ではあるものの本と本棚を一緒に買う、などのようなケースがあれば、

このPRのitemには本と本棚の二つが並ぶことになります。

複数のitemがあるときは、このitem numberを指定することで、PRのうちどのitemについて詳細確認をしたいのか、

あるいは状況確認をしたいのか、という指定を行うことができます。

指定方法: システムにより自動採番されるのでユーザーは入力しない

こちらのitem numberは、システムによって自動で採番されるようにするもので、ユーザーは入力する必要がないものになります。

・・・基本的には。
例外については、以下で説明します。

番号は10,20,・・・と取られるのが標準

番号体系ですが、1,2,3,...と取られるよりもむしろ10,20,30,..と取られることが多く、SAPもこれを標準としています。

それは、itemごとの変更履歴を管理しやすくするためです。

変更管理:もともと入れていた情報は変更しても残す

変更管理とは何かといえば、例えば、以下のようなケースを考えましょう。

  • PR Number : 1000000001
    • Item 10 : Material A
    • Item 20 : Material B

購買要求にはitem 10, 20 があり、それぞれAとBを買おうとしています。

ここで、マネージャーがAの代わりにCを買ったほうが安いということに気づき、変更をしようとします。

今後もCのほうが安いかはわからないので、とりあえず今回はCに変えよう、という状況だったとします。

普通の感覚ですとitem10を入れ直すと思われるでしょうが、内部統制を重視した企業ですと、item10は当初Aを買う想定であった、

ということを記録として残しておきたい、という要望が出されることが多いのです。

変更したいItem 10 はそのまま情報として残し、変更後のItem 11を追加する、というケースが多い

そんなときは、item 10は非有効化し、代わりにItem 11を追加し、Item 11はItem 10の代わりなのです、というメモなどをItemのテキスト項目に残すようにします。

ちなみにこの非有効化を行うときは、deletion indicatorというチェックボックスにチェックをつけ、記録としては残るものの後続のプロセスには進まないように処理をします。こちらの項目はまた別の投稿で詳述します。

もちろん、Item 10のdeletion indicatorにチェックをつけ、Item 11ではなくItem 30を追加し、Item 30はItem 10の代わりです、

というメモを残すことも出来ますが、パッと見て何が起きたのかわかりやすいのはItem 11を使う方法だと思います。

10回以上変わることが大半、という企業の場合は、Item 100, 200, ...と採番して、100回までなら変えられるようにすることもあります。

このitem numberは5桁までとれるので、10, 20と始める場合は千単位、100,200,と始める場合百千単位まで一つのPR にitem を登録できることになります。

Account Assignment Category

意味: 会計処理の際の勘定科目の割当先
用途: 会計処理が行われた時に、どんなカテゴリーに転記するのかを識別するために使用する

Data: CHAR
Length:1
Technical Name:EBAN-KNTTP

こちらの項目は、会計処理のグループわけを意味します。

会計処理、費用の紐づけ先をコントロール

例えば、購買といっても経費にするもの、仕入れにするもの、固定資産にするもの、製造原価に直接組み込むもの、といった違いがあります。

実際に会計処理を行うのは納品や検収後ですが、購買がスタートするPR作成のタイミングではっきりさせておくべき内容になるので、

PR上にもAccount Assignment Categoryが存在しています。

指定方法: 基本はマスターあるいはシステムから自動で入力されるのでユーザーは指定しない。 シナリオによってはユーザーがマニュアルで入力する。

基本的には、ユーザーは意識ない項目になります。

理由はあらかじめマスターに登録されているから、というものと、シナリオによってはシステムが自動で入力してくれるからです。

マスターで事前に決まっている
Account Assignment Categoryが導出されるケース

先ほどの経費、仕入れ、固定資産のどれにするのかという例に関していえば、これはマスター登録する時点で決めることができます。

  • 整備器具:固定資産
  • 書籍  :経費
  • ワイパー:仕入(在庫品)
    *自動車の販売会社などの例

整備器具などの備品購入を経費にすることはないでしょうし、参考文献の書籍購入を仕入れにすることもないでしょう。

マスターにきちんと登録されていれば、購買要求に入力された品目、マテリアルに従って、自動でマスターからAccount Assignment Categoryは導出されます。

業務シナリオで設定するケースもある

シナリオによって自動決定されるように設定しておくこともあります。

受注生産型で作業するケースと在庫販売で作業するケースの双方をビジネスモデルとして持っている企業の場合は、

同じマテリアルXを購入するときでも、製造原価に直接組み込むのか、在庫として仕入れにしておくのかで処理が変わってきます。

受注生産のときは、受注が登録され、その受注した製品の生産のために購買要求が作成されるという流れになるので、

購買要求の作成がユーザーではなくシステムによって行われます。

こうしたシナリオでは製造原価に組み込むようにしておき、他のケースではユーザーが購買要求にマテリアルXを入力されたときは仕入れになるようにしておくということができます。

いずれの場合にせよ、システムが自動で入れてくれることになります。

ユーザーがいれないといけない時もある。

ユーザーがマニュアルで入力する必要のある時もあります。それは、テキスト購買、つまりマスターに登録のないものを発注するケースです。

正確にはマスターには、何にでも使えるダミーマテリアルをあらかじめ登録しておいて、それを使って、

実際に購入するものの特性を考えてこちらの項目を入れる、という流れになります。

例えば、新たにコーヒーサーバーを買いたい、けどマスターに登録がないというときはダミーマテリアルを使用して、固定資産として購入。

キーボードを、買いたい、けどマスターに登録がないというときはダミーマテリアルを使用して経費としておく、というようなことが出来ます。

Possible Values

Account Assignment Categoryとして使用可能な項目の例を以下に記載します。

  • (Blank) : Standard
    - 標準、つまり仕入れになります。
  • C Sales order
    - 特定の受注に費用が紐づきます。
  • D Indiv.cust./project
    - 特定のカスタマー、およびそのプロジェクトに費用が紐づきます。
  • F Order
    - 購入したマテリアルは製造指図(Service Order)に紐づきます。
  • K Cost center
    -購入したものは経費になります。
  • P Project
    - 社内のプロジェクト活動に費用が紐づきます。
  • Q Proj. make-to-order
     -社内のプロジェクト活動のうち、特に受注生産に費用が紐づきます。
  • U Unknow
    - なんかよくわからん、というときに使います。
  • X All aux.acct.assgts.
    - 全部だ、全部!というときに使います(正直よくわかってません)

Item Category in Purchasing Document

意味: item のシステム処理カテゴリー
用途: itemごとに後続プロセスで必要となる処理、伝票を指定、制御する

Data:CHAR
Length:1
Technical Name: EBAN-EPSTP

Item Categoryは、PRに入力されたItemの後続プロセスでの扱いを制御しています。

Item Categoryが制御してくれる処理

例えば、以下について処理を分けてくれます。

  • 入荷伝票を作るかどうか
  • 受領プロセス(Goods Receipt)を行うかどうか
  • 会計伝票を作るかどうか
  • 在庫の移動を伴うかどうか

物理的なものが伴わない外注であれば入荷伝票は不要ですし、同一拠点内での在庫転送であれば会計伝票は不要ですし、

VMI:Vendor Managed Inventoryなどであれば購入はするものの在庫は増えない、といったことが起きますので、

それをこのItem Categoryが制御しています。

PR時点では実際に発生しませんが、Item Categoryは後続プロセスの処理を分岐させているものとなります。

指定方法: 基本はマスターあるいはシステムから自動で入力されるのでユーザーは指定しない。

こちらの項目は、Account Assignment Categoryと同様に、マスターやシナリオによって自動で入力されるものとなります。

マテリアルを入力したタイミングで、マテリアルマスターから自動で出力されたものをそのまま使うことになる、あるいはシナリオによって自動でシステムが選んでくれます。

Item Categoryは、Document Typeと
密接にかかわっている。

Account Assignment Categoryの説明では、業務シナリオの例として、受注生産型の場合は受注が先に行われ、

それに応じて購買要求が作られるというケースを取り上げました。

Item Categoryの場合は、こうした前工程とのつながりもありますが、

業務シナリオと密接に絡むDocument Typeの影響を受ける割合のほうが大きくなります。

Document typeは業務シナリオを定義したもの
⇒Item Categoryは、Document typeと連携する

Document Type と Item Categoryが連携する例を以下に記載します。

Document typeが在庫転送専用に作成されていれば、そのDocument typeが使用されているPRでは

Itemがすべて在庫転送向けの会計伝票を作らないように設定されたItem Categoryが自動入力される、

あるいは外注サービスの発注に作成したDocument typeを使用していれば、そのPRのItemには

入荷伝票を作成しない、在庫計上も行わないItem Categoryが自動入力される、

というように、Document typeによって一意に決まるように設定しておくことができます。

ユーザーが指定するときに備えて、Item Categoryの意味は理解をしておくように

このようにDocument typeとItem Categoryを1対1の関係で設定することでユーザーに指定してもらう必要はなくなります。

ユーザーが入れなくてはいけない場面を極力減らしたければ、Document typeをわかりやすい名称で分けておいて、

そちらを使ってもらうとItem Categoryは勝手に入ってくる、という設定にしておくことがオススメです。

しかし、あんまり細かく分けすぎると大変な部分もあったり、Document TypeとItem Categoryが1対1にならないケースもあるので、

以降に記載するPossible Valuesをきちんと押さえておくことも重要となります。

Possible Values

  • (Blank) : Standard
    - 通常の購買に使用します。入荷伝票は作成、受領もする、会計伝票も作るし、在庫の移動も伴う。
  • K: Consignment
    - 発注先においてある状態のままで購入します。在庫移動が起きないので、入荷伝票は不要で、受領も行いません。
  • S : Third Party
    - 誰かのために買っている、という意味でThird Partyです。受注に紐づいていて、その受注の取引先のために買っている、という意味合いになります。入荷せずに購入と同時に販売になるので、入荷伝票が不要になります。
  • U : Stock transfer
    - 在庫転送の時に使用します。会計伝票が作成されません。在庫の転送元からは出荷伝票が、在庫の転送先では入荷伝票が作成されます。
  • L : Subcontracting
    - 外注のことを意味するので、入荷伝票は不要、受領も行いません。ただし、修理サービスの時はモノを送ってそれを修理してもらうこともあるので、そちらのItemはStandardが選択されます。
  • D : Service
    - これは製造指図と紐づいていることを示します。在庫は増えますが、その在庫は製造活動に使用されるので他の在庫とは区別されるように制御してくれます。
  • C: Stock prov.by cust.
    - 顧客から受け取るものに使用します。在庫が区別されます。
  • P: Return.trans.pack.
    - 購入したものに、発注先へ返送することになる梱包品などがついていた時はこれを使用します。会計伝票が作られないようにしておくことができます。もし、返送してないじゃないか!と言われたらその時はその時で費用請求する、という流れです。

終わりに

Item Overviewだけでもまだまだ項目はあるのですが、ひとまず一つの投稿で3項目で程度に抑えて解説を行っていきたいと思います。

Account Assignment Categoryについては、FI(会計関連)の理解が足りないことが露呈しましたので、後日調査して各項目の意味合いをきちんと理解したいと思います。

-SAP/IT

© 2024 Soloblog - ITコンサルのざっくり解説 Powered by AFFINGER5