現在、総合コンサルティングファームで勤めている私ですが、次は戦略ファームにチャレンジしたいと思っています。
こちらの投稿では、コンサルティング業界では転職時に対策が必要になるケース面談を実際に行っていく過程を例題を取り扱いながら、お伝えしていきたいと思っています。今回のお題は「ホテルチェーンのOCC(客室稼働率)下落の原因は何か?」です。
コロナ禍の状況では、対前年同月比で売り上げマイナス80%になっているホテル事業会社などもありますが、今回はそういった直近の状況とは無関係の世界、つまり1年以上前の時点で、客室稼働率が下落しているホテルチェーンがクライアントであった場合に、何がその下落の原因なのか、という点を探っていきたいと思います。
Agenda
想定する読者
- コンサルティングファームへの就職を考えている就活生
- コンサルティングファームへの転職を考えているコンサル未経験の社会人の方
メリット
- 面接に向けての練習問題として活用できる
- 面接の場で問題に対してどのようにアプローチしていくべきかがわかる
- 面接の場でどのように話をするべきなのかが参考にできる
- 面接の場で問題を解いていくのと同時にどのような説明をするべきかがわかる
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最初に伝えられる情報
面接では、以下の情報のみ伝えられたと仮定します。
- クライアントは外資のホテルチェーン企業
- Luxuary 路線のホテルとして認知がある(リッツカールトンのようなホテル)
- この数年、年間でのOCC:客室稼働率が下落傾向にあり、その原因を知りたいと考えている
まずはApproachを思い描く
確認/検討すべきFactorは何か?
ケース面談では、初めに情報が与えられて、あとは面接官との対話形式で情報を引き出しつつ、与えられた課題をクリアしていくというInterviewee Led(志望者が主導するケース)と、逆に面接官が質問をしつつ進行をしてくれるInterviewer Led(面接官が主導するケース)の2つがあります。
志望者が主導するケースですと、必要な質問はすべて志望者側が考え、面接官にぶつけなくてはいけません。面接官がリードしてくれる場合は、具体的な質問がされるので、それを検討すればいいのですが、どちらの場合においても大事なのは、「自分だったら何を確認・検討するか?」をはっきりさせておくことです。
自分が主導するケースではここで思い描いたApproachに従って質問していくことで面接を進めていくことができます。また、面接官が主導するケースにおいては、ただ聞かれえたことに対して答えるだけではなく、自分なりの考えを付け加えることでより一段深い分析をしていることのアピールができます。
要は、問題が与えられたときに、「この問題を解消するために確認・検討すべきFactorが何か?」を頭に思い描いてからケースを始めていくことが重要となります。
それでは、実際にこちらの問題の例では、どのようなFactorを確認・検討していくことで目的を果たせるか、考えていきましょう。
今回のケースでは、私だったら以下のように確認・検討を進めていきます。面接官には、「こういった観点で問題を分析していきたいと思います。」と伝えるとよいでしょう。
このように、問題に対してどのように取り掛かるか、というApproachを策定できると面接はスムーズになります。これは慣れの問題でもあるので、数多くの問題に触れ、初めにどんなFactorを確認していくか、検討していくか、という点を思い描くことができるようになりましょう。
問題の所在について
まずは、問題は稼働率の下落ということでしたので、この下落について数値的に知りたいというのと、また何が原因として潜んでいそうかについてあたりを付けたいという理由から、問題の所在(問題がどこにあるのか)に関連する質問をしていきます。
以下に、確認・検討していきたいFactorと、その理由を記述します。
- いつから起きているのか
- 問題が特定の時点から発生しているなら、その時点で何か変化が起きたのではないかと推測できるので、稼働率下落が発生した時点付近で起こった変化の内容を確認することで原因の特定につながるかもしれない。
- どの地域で起きているのか
- 特定の地域で稼働率が減少しているのなら、その地域に特有の変化、事象が稼働率下落の原因かもしれない。逆に、特定の地域だけ稼働率が下落していないのであれば、その地域だけ実施している差異などを確認することで原因の特定につながるかもしれない。
- どの顧客層で起きているのか
- 特定の顧客層の需要が減っているのであれば、その顧客層を獲得するための方法や、その顧客層が求めるものをクライアントが保有できていない可能性がある。
- どういった価格帯の部屋で起きているのか
- 高価格帯の部屋だけ稼働率が下がっているのであれば、価格が原因で稼働率が下がっているかもしれない。価格を下げたくないのであれば、サービスの品質を上げるなどの代替方法が必要になる。
- 数値としてはどの程度下落しているのか
- いつから、地域別に、顧客別に、部屋の価格帯別に、どの程度の稼働率現象が起きているのかを比較ができるように数値として確認したい。
- 価格やサービスで何か変えたか
- 価格が顧客から重要視されているのであれば、その変化が顧客離れを起こしているかもしれない。サービスに変化があったら、同様にその変化が理由で顧客離れにつながっているかもしれない。
(競合が何をやっているかは競合のFactorで確認)
- 価格が顧客から重要視されているのであれば、その変化が顧客離れを起こしているかもしれない。サービスに変化があったら、同様にその変化が理由で顧客離れにつながっているかもしれない。
- 広告、キャンペーンなどは有効活用できているのか
- 顧客獲得の手法としては複数あるが、それがうまくいっていない可能性がある。現時点で何をしているのかを知り、競合と比較することで原因の特定につながるかもしれない。
ポイントですが、いきなり数値を確認すると言うのではなく、いつから起きているのか、どの地域で、どの顧客層で、どういった価格帯の部屋で、といった情報を確認したうえで、数値を確認するという説明にすることです。
最初に数値を確認するといっても、全体の数値だけを確認するのでは原因特定につながるような情報が得られる可能性は少ないからですね。
顧客について
次に、顧客について確認・検討をしていきます。稼働率が下落しているというのは、顧客がクライアントから離れてしまっているということになりますので、その要因は何なのか、そもそも顧客の行動原理(購買原理)は何なのか、という点を知ることで原因特定につながる情報を探します。
- 顧客は何を求めているのか、顧客の趣向に変化があったのか、顧客がホテルを選ぶときの決め手とは
- 顧客が何を求めているのかを知ることで、それをクライアントが提供できているのかを調べるときに参考情報になる。顧客が求めているのはサービスの品質か、きれいな外装、内装か、ロケーション面の利便性か、スパなどの追加サービスか、価格なのか、レストランで提供される食事やドリンクか、どれが重視されているのか、あるいはあまり気にされていないポイントなのかを確認し、これらの顧客趣向とクライアントが提供するものに差異が発生していないかを検証することができるかもしれない。
- クライアントに対する評価はどうなっているか
- クライアントに対する顧客からの評価があれば、それを参照することでどこに問題があるのか、顧客と比較して劣っていると思われている点が何か、検討を進めていくことが容易になるかもしれない。
- クライアントはどのように顧客を獲得しているのか
- クライアントはWEBを活用した広告などを主に活用しているのか、ガイドブックに広告を載せることで顧客を獲得しているのか、あるいは旅行会社のパッケージ商品として提携することで顧客を獲得しているのか、これらの情報を把握することで、正しく顧客獲得の活動を行えているのかを確認することができるかもしれない。
顧客にどう思われているのか、顧客獲得のために何をしているのか、という点が主な確認対象となります。
競合について
最後に、競合がどんな状況なのかを確認します。
稼働率下落はそもそも競合にも同様に起きているのかどうか、競合には起きていないのであればクライアントとの間に何かしらの差異があるはずなので、それを特定するために以下を確認していきます。
- 競合の稼働率は堅調なのか
- そもそもの確認として、問題が業界全体のものか、あるいはクライアント独自のモノかを確認するため。
- 価格、サービスで何かを変えたか
- 競合が価格やサービスで何かを変えたことがクライアントの稼働率下落につながっているのではないか、という予測について確認をするため
- クライアントと比較した評価はどうなのか
- 競合とクライアントの評価の差異を特定することが、稼働率下落の原因特定につながるかもしれない。
- クライアントが実施していない活動はあるか
- 競合とクライアントの差異を特定することが、稼働率下落の原因特定につながるかもしれない。例えば、広告宣伝、キャンペーン、他企業との提携などの試みを競合が実施している中でクライアントは実施できていない、などの事情が原因なのではないかという予測があっているかを確認するため。
これだけ確認・検討ができれば、どこかしらに興味深い情報が見つかるはずです。例えば、品質については評価が落ちているとあればそれが原因であると考えられますし、品質の評価は高いものの利便性が低いと言われているのであればより利便性を向上させるような施策を導入する必要がある、などの提案もできるようになっていきます。
確認の結果、得られた情報を深堀りする
それでは、ここまでに記述してきた確認すべきFactorを一通り面接官に確認したところ、以下のような情報が得られたとしましょう。
- エリア別の稼働率の変化(稼働部屋数の変化)
- 競合との比較結果(顧客に対するアンケート結果のまとめ)
これらの情報に対して次に行うべきは、与えられた情報を深堀りし、問題について仮説を打ち立て、検証のために追加的に情報を要求する、という作業となります。これを続け、原因を特定します。
エリア別の稼働率変化(稼働部屋数の変化)
エリア別に以下のように平均稼働部屋数が変化している、という情報が与えられたとします。この情報に対して、面接官が何か聞いてくる場合もありますが、聞かれなかったとしても「この情報からわかることは何か?」を考えていきましょう。
まず、稼働率の変化と言われていますが、情報は稼働部屋数の変化です。見てみると、エリアごとにばらつきがあることがわかりますので、この情報に、変化率を加えてみて、エリアごとにどの程度の変化が起きているのかを見てみましょう。
そうすることで、稼働率が大きく下落しているのはどこで、逆にどこがもちこたえているのかを確認することができますので、これらの情報はそもそもの目的である稼働率下落の原因特定に有用です。
ざっくりと計算してみると、変化率は、以下のとおりとみられます。
- 東北:約12%の下落
- 東京:約3%の下落
- 関東近郊:約8%の下落
- 中部:約18%の下落
- 関西:約3%の下落
わかること、追加で確認すべきポイント
ここから得られる情報は、東京と関西では、下落率が比較的小さい一方で、東北と中部に至っては東京と関西の4倍以上の下落幅であることがわかります。
この違いを生んでいるものは何なのかを調べることで、東北、中部、あるいは関東近郊の稼働率の下落を食い止めるための施策を考案する際の視点の一つとすることが出来ます。よって、追加で質問をするとすれば、以下のようなものが考えられるでしょう。
- 設備について
- 東京、あるいは関西で保有されている設備と、その他の地域(東北、関東近郊、中部)が保有する設備の特徴に差異があるか
- サービスについて
- 東京、あるいは関西で提供されているサービスと、その他の地域(東北、関東近郊、中部)が提供するサービスに差異があるか
- 活動について
- 東京、あるいは関西で、その他の地域(東北、関東近郊、中部)とは異なる活動はされているか。(広告宣伝などの営業活動、投資活動、アライアンス活動など)
もし、興味深い回答が面接官から得られた場合には、さらに深堀していくことで地域別の稼働率の下落幅の違いを説明できる要因を見つけることが出来るかと思います。
また、面接官へ質問をするときは、質問の理由も頭に置きながら質問を行うようにし、時間を有効活用するようにしましょう。
競合との比較結果
競合との比較結果として、アンケート結果が提供されたとします。与えられた情報は、以下のように表形式でまとめられ、アンケートを取った顧客の何%が質問事項に対して「Yes」と回答してくれたかを示しているものとします。
この情報から読み取れる内容は何でしょうか。
わかること、確認すべきポイント
こちらの情報からは、価格適正については顧客から高い評価を頂いている一方で、その他の要素については競合Aをトップとして、それを追いかけるような評価を受けているということがわかります。
ここで気になるポイントは、競合A, B, Cの稼働率はクライアントと比較してどうなっているのか、という点です。競合Aは稼働率をキープ、あるいは伸ばしている、そして競合BとCは稼働率が下落しているという状況であれば、顧客からの評価がそのまま稼働率に影響を及ぼしていると考えることもできます。
その他にも気になるポイントを一覧にすると、以下のようになります。
- 競合A, B, Cの稼働率はどのように変化しているか、情報はあるか
- 競合A, B, Cの価格はいずれも適正と評価されているが、クライアントと比較してどのような価格設定をしているのか(高いのか安いのか)
- 利便性を評価する際の項目は具体的に何か(アクセス性、観光支援、レストランとの提携、交通機関との提携等)、そしてどのような差異がクライアント、競合A,B,Cの間にあるのか
- サービスの品質や食材、ドリンクは競合Aが最も評価が高いが、競合B,C、クライアントと比較して大きな差異として評価されている要素は何か
稼動率の変化状況をまず確認しますが、それを確認出来たらその理由がなんであるかを確認します。ここでは、価格適正、利便性、サービスの品質、食材、ドリンクの品質などが与えられているため、せっかくなのでこれを使います。
質問の背景は、稼働率の差は価格が違うからなのか、利便性が違うからなのか、サービス、あるいは食材・ドリンクの品質の違いによるものなのか、あたりをつけるというものです。
仮説を構築する
基本的な質問を行い、与えられた情報を深堀していくと、ある一定の事実が見えてくることになると思います。
こうして情報収集を行ったら、集められた情報をいったんまとめて、仮説を構築しましょう。そして、その仮説を検証するための追加的な質問が必要であれば質問を行い、仮説の正しさを確認します。
ここでは、クライアントの地域別の特徴と競合A, B, Cとの比較結果として以下の情報が得られたとします。
- クライアントの東京、関西エリアと他の地域ではサービス、食材、ドリンクなどのメニューは統一されていた
- クライアントの東京、関西エリアと他の地域ではホテルの立地状況に差異があった。東京、関西のエリアはアクセスが良く、空港から40分以内である一方、その他の地域のホテルは1時間半以上が必要とされた
- 競合Aの稼働率は堅調に伸びており、競合B,Cの稼働率はクライアントと同程度の減少傾向にあった
- 競合A, B, C、クライアントの価格設定は、競合A>クライアント>競合B, Cという順番であった
- 競合Aの利便性としての評価は主にアクセス性でありいずれのホテルにおいても主要空港からのアクセスが良く、公共交通機関で40分以内にある点が評価されていた。また、競合B, Cは公共交通機関で1時間程度の位置にあった。
- 競合A, B, C、クライアントの間では主に食材、ドリンクメニューに差異があると評価されており、競合Aはよりハイクラスのものを提供していることが分かった。また、食材、ドリンクメニューは相応に高価格帯の設定がされていた。
これらの情報は、質問をすれば個別に回答が得られるものなので、今回ここに一覧化しているように整理された状況にはなっていないことが一般的です。
面接の冒頭で確認出来た情報と、その10分後に確認出来た情報、さらに5分後に得られた情報、といった形で得られた順番はバラバラになっていることもよくありますが、こうした情報を頭の中で整理していき、問題の原因について仮説を打ち立てましょう。
みなさんでしたらどのような仮説を構築するでしょうか。
仮説構築
ここでは、仮説として以下の2つを構築しました。
- 顧客から評価を得るために重要な要素は、利便性と良質な体験の提供
- 利便性がよく、良質なサービスの提供があれば価格については顧客は重要視しない
これらについて、まだ確かめるべき側面がある場合は追加の質問を面接官に対して行ってもいいのですが、今回はこの仮説が確からしいということがこれまでの情報収集、分析の中で分かったとします。
まとめ:原因について
それでは、ここまでの内容をまとめて、こちらのケースのそもそもの目的であった、「稼働率の下落の原因特定」という部分について、考えを述べます。
サービスの品質と利便性
競合Aの稼働率は伸びている一方で、クライアントと競合 B, Cの稼働率は下落している状況です。顧客からの評価を見てみると、競合Aと差が開いているのはサービス品質、利便性であり、サービスの品質についてはクライアントは競合B,Cよりもわずかに高い評価である一方、利便性はワーストであることがわかりました。
利便性についてより詳細に確認をすると、アクセスの良さが大きな割合を占めていることがわかり、競合Aは主要空港から40分以内のアクセス、競合B, Cは1時間以内のアクセスであるところ、クライアントのホテルは主に東京、関西以外のエリアでは1時間半以上かかるケースもあることがわかっています。
よって、クライアントはサービスの品質で競合B,Cを上回る部分と利便性で劣る部分が相殺され、3社間では稼働率の下落に差異が大きくは見られないものの、競合Aはサービスの品質、利便性共に高評価であるためにその他の3社の顧客を奪っている状況と見受けられます。
よって、サービスの品質、そして利便性で劣る点が稼働率下落の原因であると結論付けます。
対応策について
問題の内容自体は原因の特定ですが、対応策を一応考えてみます。
これまでの分析で、原因は品質と利便性で劣る点であると結論をつけているので、これらの向上を目的に施策を立案します。
今回は、以下のように施策を立案しました。
- サービスの品質向上
- レストランのメニューをより高価格帯、上質にする
- 外観、内装をより豪華に変更する
- 従業員によるサービスの品質向上のためトレーニングを受講させる
※価格帯は上昇しても構わないものと考える
- 利便性の向上
- ホテルまでの送迎サービスを導入する
- 例:タクシー会社とのアライアンス(主要空港、駅からの送迎)
- 例:旅行会社とのアライアンス(バスなどのアクセス提供)
競合Aの稼働率が伸びているということから、顧客は良質なサービス、食材、ドリンク、そして利便性を提供する競合Aのホテルには、相応の価格設定がされていても予約を取っているということが推測できます。
よって、価格は高くなっても問題ないので、良質なサービス、利便性を提供することを考えました。利便性の向上については、ホテルのロケーションを好きに変更することは出来ないので、送迎サービスを取り入れるというアイデアを採用しています。
優先順位としては、利便性の評価が現時点でワーストであるため、この部分を強化するための施策である送迎サービスの導入のための活動は早期に着手するべきと考えます。より上質な体験を提供するという意味で考えれば、旅行会社との提携によるバスの送迎サービスの導入よりも、顧客、顧客家族に対するタクシーでの送迎サービスのほうがより望ましいかと考えます。
このような形で、当初与えられたゴールである問題の原因特定と、おまけとして対応策の検討までを行いました。
あとは、面接官から突っ込みが入るか、フィードバックを頂くことになるので、「あそこはもっとこうしたらよかった」などの会話をすることになります。
おわりに
いかがでしたでしょうか。今回は、架空の例ですが、ケース問題っぽい内容を扱えたのではないかと思います。(ちょっと時世とあっていない例になってしまいましたが・・・)
コロナ禍の状況で考えたら・・・
コロナ禍のなかで考えると、売り上げが前年同月比でマイナス80%の企業もあるというお話ですから、稼働率も同様にマイナス80%くらいなんでしょうか。「今後、どうなると思う?どうしたらいいと思う?」とか聞かれたら、なんて答えたるべきでしょう。
今回のケースの様な高価格帯のホテルチェーンが相手なら、価格を下げて対応してもブランドイメージに響く可能性があるので難しいですし、サービスの品質とか利便性が原因というわけでもないんですよね。
もう、外部要因なので仕方ない!という考えでいくならば、原因特定というよりもむしろ売上を少しでも回復させる方法、利益を少しでも出す方法は?といったケース問題は出るかもしれません。
そうなったら、私なら以下のようなアイディアを施策として検討したいと思います。
- 海外、地方から来たお客様の2週間の隔離用の施設として利用頂く
(※通常の宿泊客の利用とはフロア、出入り口を完全に分ける) - 外出は禁止とし、ホテル内のみ移動可能とする
- 食事はルームサービスで提供し、掃除、洗濯、風呂はホテルから提供
- 隔離後、感染がないことを確認してから、フロアを移動し、チェックアウトを可能とする(退出時は事前に時間を決め、他隔離者との接触を避ける)
- 政府、地方公共団体、医療機関との提携で宿泊者、ホテル事業従事者の健康管理は徹底し、感染拡大を防ぐ
- 隔離用の施設としての特別対応として一時的に価格を下げる
こうすると、前年に比べて激減している宿泊客の需要に加えて、隔離対象者の需要を取り込むことが出来るので、少しばかり売り上げが伸びるのではないでしょうか。
ただ、懸念はフロアごとの管理や、出入り口の管理、従業員によるサービス提供時に感染が起きないように徹底する、などのコストを上回る売上増大効果が得られるか、という点ですね。
いやー、とりあえず、日々いろんなところにアンテナを張って、こんな問題が出てきたらどうするか、という点を考える癖をつけるのはいいことだと思います。
みなさんも、ぜひやってみてください。