今回は、コンサルで働いてみてイメージとは違ったなーと感じたギャップ、合わせて意外だった部分について触れたいと思います。
思いついたままに書いていきますので、へーそうなんだーと、少しでも思ってもらえるものがあれば嬉しいです。
今回の投稿で、一旦コンサルティングファーム関係の投稿は最後になります。
Agenda
コンサルで感じたギャップ
想定読者
- コンサルで働いてみたいと思っている学生の方
- コンサル未経験で、転職先の候補にコンサルを考えている社会人の方
メリット
- コンサルのイメージと、実態の違いがわかる
- コンサルの雰囲気がなんとなかわかる
- 就職先としてコンサルが本当にいいのか参考にできる
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激務かどうかはプロジェクト依存
出来る人はどんどん仕事を振られる一方で、暇してる人たちもいる
一般に、コンサルティングファームというと激務のイメージがあると思います。
朝は8時から、夜は2時、3時まで。
たしかに、プロジェクトによっては1ヶ月そんな生活をすることになる場合もあります。
ただ、土日出勤する場合は10時から20時くらいまでのことが多く、平日も土日も8時から2時、3時まで働くということは無いです。
すべてのコンサルタントがそうした状況下というと、それは違いました。
どんなプロジェクトがそんな激務になるのかというと、
戦略案件、DD案件、リサーチ案件、モデリング案件、システム導入案件の移行フェーズ、とかですね。
当然ですが、全社員がそうしたプロジェクトにいるわけではないので、全てのコンサルが激務に追われているというイメージは誤りです。
出来る人が更に追い詰められる一方で、暇している人もいる
しかし、コンサルティングファームでは、出来る人に仕事が集まります。
戦略案件で一度良いパフォーマンスを出すと、その評価がパートナー達の中で共有される、あるいは一緒に仕事をしたマネージャーから別案件に誘われる確率が上がります。
逆に、一度使ってみてダメだったスタッフは、ダメな評価がつくので別案件に誘われる機会は減ります。
入社して日が浅い期間や、ランク低い時は辛抱強く使われる、あるいは使うようにと担当のパートナー達が他パートナーに伝える可能性もありますが、感覚としては一年ダメならもう使われない、という扱いになります。
そうなると、社内では何のプロジェクトにもアサインされず暇そうにしながらe-Learningを受けているコンサルなんかもいます。
一方で、忙しい人は次々にプロジェクトにアサインされ、忙殺されている、というわけです。
コンサルティングファームの人はみんな死ぬほど働いていると思ってましたが、結構な割合で暇している人もいました。
オープンなカルチャー?いいえ、派閥ばかりで発言に気を遣います
コンサルの内部には、派閥があります。
よく採用ホームページとかでオープンなカルチャーを押しているファームを見ますが、嘘です。
ある程度以上のランクになったスタッフはすべからく○○派閥というものに所属していて、発言には気を遣う毎日です。
近しいパートナーと一緒のミーティングで、そのパートナーに楯突くような発言をすれば以降プロジェクトへのアサインはされなくなります。
いわゆる、派閥から追い出された、という状況ですね。
ある時、顧客の要望をそのまま受けてスコープに追加してしまったパートナーに対して「シニアスタッフがきちんと対応すべきだった!」と進言した時、
「君それ誰に言うてんのかわかっとんねんな?代わりはいくらでもおるねんで?」
という発言がパートナーから出てきたときは、あぁ、年収1億円以上のパートナーも人間だなぁと思ったものです。
人事権はパートナーが持っていますので、昇進を決めるのもパートナー、プロジェクトへのアサインを決めるのもパートナーである以上、
パートナーに対してはある程度の気を使った発言をするのはある意味当然です。
当然なのですが、入社前は自由闊達、オープンなカルチャーで摩擦を恐れずに議論できるという環境だと信じてました。
社内はそんなに効率化されてません
コンサルというと、先進的なことをやっているイメージがありますよね。
提供しているサービスはそうかもしれませんが、社内は全然です。
社内で使っているツールは本当に前時代的なものですし、スピードも遅い。
各部署の売り上げ予算、実績比較なんかはexcelでやってますし、経費申請の登録システムなんかひどいUIだったりします。
予算管理とかには「BIとか使えよ・・・」、
顧客管理には「Sales Force使えよ・・・」と毎日思ってました。
戦略と、業務・テクノロジーの壁は低くなってきている?いいえ、依然として存在します
業務とテクノロジーはほぼ融合
コンサルは、あえて分けるのであれば戦略、業務、そしてテクノロジーという区分けができるかと思っています。
業務とテクノロジーについては、業務を理解せずにテクノロジーを用いた変革はできないため、ほぼ一緒になってきていて、
両方出来る人がコンサルとして評価されます。この部分は意外でした。
ちなみにテクノロジー一本、コーディング命、という人達はもはやプログラマーなので、コンサルとは別の扱いを受けていて、社内ではプログラマー専用のフロアがあったりします。
戦略と他の間には依然壁が
戦略コンサルは、最近はテクノロジーの話を取り扱うようになってきてはいますが、
やはり導入まで自分たちでやるわけでは無いので、知識はそんなにありません。
カタカナ用語は知っているものの、その裏にある概念や仕組みまでは知る必要は無い、というスタンスでいるコンサルが多く、
また俺たちがとってきた案件が広がって業務改善案件、テクノロジー案件になるわけだから、
コンサルのティングファームの中で一番偉いのは俺たちだ、という感覚を持っています。
一方、業務コンサル、テクノロジーコンサルは戦略コンサルに対して「あいつら何もわかってねぇ」とか「絵描いてるだけじゃねぇか」という感覚でいます。
プロジェクトの開始が戦略コンサルのとってきた仕事を引き継ぎ、システム導入をしていくという形式が少なくないのですが、
結構な頻度で戦略コンサルが残していった爆弾を処理することになるのです。
出来もしないことを出来るということにして報告されていたり、全く検討されていない部分が延期され、
対応するのは業務、テクノロジーコンサルになる、というのはよくある話です。
私もそっち側だったので、この感覚には凄く同意です。
と、いうわけで、仲が悪いわけではないですがなんとなく俺たちはこう、あいつらはこう、という感覚をお互いに持っているわけです。
ランクごとの給料は一緒にしているファームもあったりしますが、戦略コンサルは少数なので比較的昇進が早かったりしますし、
ファームによってはそもそも戦略、業務、テクノロジーで給料のレンジが違うケースもあります。
仕組みの面でも、コンサル同士のメンタリティの部分でも、まだまだ壁は厚いと言えるでしょう。
そんなに優秀な人ばかりではないです。
2080の法則がバッチリ当てはまります。
コンサルティングファームと聞くと、優秀な人が多いイメージが先行しますよね。
そうでもないです。
社内ではパフォーマンスが良くなく、なんのプロジェクトにもアサインされずに暇してる人たちもいますので、
やはり2割の人たちがファーム全体の8割の売り上げに貢献している状況になります。
そして、普通なら暇してたらいたたまれなくなって退職するかと思いきや、実はこうした暇連中が勤続年数10年とかだったりするので恐ろしいです。
ちなみに、よくコンサルティングファームが出版している本とかありますが、こういう本を書いている連中は、まさにこうした社内で暇をしている人たちです。
最後にシニアマネージャーやパートナーが確認はしてブラッシュアップはしますが、大半はこうした実践に投じることの
できないレベルのパフォーマンスという評価をもらってしまった人たちになのです。
それでもEYの出す本はレベルが高いのでオススメです!
英語話せる人全然いません
これは、ランクがマネージャー以上になると顕著です。
自分は話せないからという理由で入社一年目のアナリストなんかをプロジェクトに通訳としてアサインするマネージャーは多いです。
まぁ、そんなアナリストは専門用語がわからず 顧客との議論についてこれないので何の役にも立たないのですが。
文法めちゃくちゃでも単語を並び立ててるインド人とかに押し負けるパートナーとか、たくさん見てきました。
と、いう事情もあり、英語が話せるとそれだけで評価されちゃったりします。
海外のファームはすぐ帰る
日本は、やっぱり働きすぎ
海外のファームからきているメンバーと仕事をすることがありました。
彼らは、本当にすぐ帰ります。逆に、日本人は長く働きすぎです、本当に。
まぁでも、海外のファームの人たちは仕事終わってなくても帰るので、そこは信じられないところではあります。
彼らは、きちんとプロジェクトマネージャーがリソース管理をしてプロジェクト発足時点から管理していれば、
そんな定時出社・定時退社のコンサルタントたちだけでもプロジェクトはうまくいくはず、
だからミスはすべてプロジェクトマネージャーのせいだ、というスタンスで働いているようです。
日本人だと、そんな無責任になれないのはまぁわかるのですが、リカバリーしようと頑張りすぎるのも考え物かもしれませんね。
海外ファームの人材は平均点が低く、
最高点が高い
海外のファームからきているメンバー、ひたすらレベル低いです。
資料も作れない、プレゼンできない、ミーティングではゴールを達成せずにアジェンダも終えずに時間を使い切る、
何かできないことがあると顧客あるいは他スタッフのせいにする、顧客から出金を食らう、という人が多いです。がっかりです。
しかし、出来る人は凄いです。
コスト、マーケット、インカムアプローチの企業価値評価を半日で終わらせる人がいたり、
基幹業務の要件定義を行う際の論点整理、パワポ20スライドの作成を二日で終わらせたり、
グループ企業100社以上の会社の財務モデリングを3日で終わらせる人がいたりします。
ただ、日本のファームは平均点が高いので、プロジェクト進行の点ではそちらのほうが計算ができますから、日本のファームのほうが優れていると思いますけどね。
人を育てる文化はゼロだが、
深夜になると教えてくれる人も
人を育てる文化がないのはイメージ通りでした。
まぁ、みなさん普段から忙しいので、目下のメンバーを育てる時間なんかないわけです。忙しくない人からは何も学ぶことがないですからね。
仕事を実際にこなしながら、勝手に育っていくのがコンサルティングファーム、という感じですね。
ですが、一応シニアマネージャー、マネージャーなどの上位者が下位メンバーを教育する場面もあります。ただし、それは深夜に限ってのことです。
みんな忙しいですが、深夜になるとお客様は帰りますし、とりあえずメールがすぐに返信されてくることは減ります。
こうなると、ちょっと余裕の出てきたシニアマネージャー、マネージャーが下位スタッフを直々にレビューしてくれることもあります。
私も、コンサルティングファームに入った最初の半年くらいは深夜2時くらいから議事録のレビューや、作成した提案資料のレビュー、
財務モデリングの数字の見せ方やインプットの変更方法についてコメントを頂いたり、SAPのレクチャーを受けたものでした。
意味もなく参加必須の研修がある
コンサルティングファーム、参加必須の研修が多いです。意外でした。
あらたに使うことになったツールの話や、誰かが海外で開かれたイベントに行ってきた感想をプレゼンするとか(本当にどうでもいい)、
ハラスメントはいけないという話を聞くために会議室を借りて研修が開かれます。
当日これない人はSkypeで参加してね、となっていて、参加していたかどうかの出席確認もとられます。
こうした研修は毎回持ち回りでやっているか、とある人が専属でやっていたりします。専属で研修やってるって何なんだ。
結局、参加している人は、PCを開いて自分の仕事をずーっとやってますね。
服装に気を使う人は金融関係の人くらい
基本的に、服装はすごく適当です。
パーカーでいる人とかもいますし、シャツはユニクロとかです。
高いスーツ、高い靴、高いカバンを持っている人なんて、そんなにいません。
ユニクロのシャツ、その辺で売ってるネクタイ、Suits Companyで買ったスーツ上下、LEGALの靴、TUMIのカバン、
これを抑えればあなたも量産型コンサルタントです。
一方で、金融関係のプロジェクトにアサインされている人たちはすごくきちんとしています。
ネクタイ、ジャケットはいつでも着用ですし、カフスやネクタイピンもつけてます。
かばんは手提げかばんでリュックとかショルダーバッグの人はいないですし、頭には常にジェルがついている、そんな感じです。
ランチもディナーもコンビニ弁当
ご飯だけはいいところに行っているかと思うと、そうでもないです。
同じビルにコンビニがあるか、デパ地下があるので、そこで買ってきたお弁当を毎日食べています。
お昼の時間運んでるので、少し時間を外し、割引された弁当を買って食べている人が多いです。
まぁ、忙しいですからね。社外に行く時間を削って早く仕事を終わらせたいと思うのも当然か、と納得しました。
ショートカットはみんなできる、マウスは使用者多い、人差し指一本打法の人結構いる
エクセルのショートカットとか、パワポのショートカットとかは当然のようにできます。
ですが、マウスを使っている人は多いです。
どこかの本とかに、マウスは使うなとか書いてあること多いですけど、人によってはPCのタッチパッドだと肩がこるとかもあるので、マウスを使う人は実は多いです。
タイピングについては、結構人差し指一本で打つ人多いです。
結構、海外の大学出身者に多いイメージです。
電卓持参のおじさん結構いる
エクセルという表計算ソフトがありながら、謎に電卓を持ち歩いている人、結構多いです。
あの人たち、銀行出身かな。
深夜のオフィスで繰り広げられるのは雑談か詰め
効率的に働いていそうなコンサルティングファームの人たち。
実はそうでもありませんでした。
深夜になってくると、お客様からの電話やメールはほぼなくなり、打ち合わせも減ります。
そこで少し余裕が出てくるからなのか、結構深夜に雑談で盛り上がっている人たちがいます。
ある種、深夜テンションですかね。
あるいは、徹底的に詰められている人なんかもいます。
転職のお誘いと同時に不動産の営業電話もひたすら来る
転職のお誘いがひたすら来るのはイメージ通りですが、不動産の営業電話もかなり来ます。
コンサルティングファームのパートナー、年収は1億円を超えるケースもあることで有名ですが、ビルを買ったりすることが多いようで、
それをネタにして「ビルとまではいかずとも、税金対策で一部屋程度どうですか?」と電話がかかってきます。
案件取ってから考えるスタイル
これは結構ガッカリしました。
日々、プロジェクトの仕事をしながらも、提案をお手伝いすることはあるのですが、
「これ、とれちゃったら誰にやってもらおう?」とかパートナーが言っているケースは非常に多いです。
社内で使える人材はすでにどこかのプロジェクトにアサインされ、パンパンになっているのが普通ですので、新規にプロジェクトが取れても、
誰にやってもらうのか決まっていないとか、あるいはそもそもできる人が誰もいない、といった状況で提案をしています。
それで案件が取れてしまい、結局後で大変なことになる、という例はかなり多いです。
終わりに
以上、つらつらと思ったままに書いていきました。
思い返してみると、ギャップは感じたものの、コンサルティングファームといえどやっぱり会社なんだなぁ、と思えますね。
うーん、なんだか懐かしくなってきてしまった。
またいつか働いてみてもいいかもしれない・・・