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【MaaS/CASE】日本企業の取り組み事例まとめ/図解【チクタク、Whill、Anyca】

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最近、個人的な興味と仕事の関係もあり、MaaS・CASE関連の企業の取り組み事例を調査したのですが、いやー、結構面白いことやってる企業が多いですね!

今回は、最近(というかもう当たり前なのかもしれませんが)にぎわってきているMaaS・CASE関連の企業の取り組み事例を簡単にご紹介していきたいと思います。

今回ご紹介するのは、兵庫県豊岡市のチクタク、電動車いすのWhill、DeNAの提供するAnyca(エニカ)となっております。

参考にした図書

初めに、参考にした図書を以下に乗せておきます。ストーリーでわかるMaaS&CASEは日本の事例が数多く扱われていて、創業者が事業を起こすまでの背景を書いていたりするので読み物としてもすごく面白いです。

ニューノーマルのほうは、昨今のコロナウイルスの影響を加味して今後の自動車業界で起こっていくであろう変革について述べられています。こちらも、おすすめです。

想定読者

  • 最近のMobility・自動車関連の動向が気になっている社会人の方
  • 地方在住で移動は不便だなぁ、何とかならないのかなぁと感じている方
  • MaaS・CASE関連のITベンチャーが気になる就活生の方

メリット

  • MaaS・CASEを活用したビジネスモデル、企業の取り組み事例がわかる
  • 地方で実施されている移動の効率化・改善の事例がわかる
  • 面白そうなことをやっているベンチャー企業を知ることが出来る

市民ボランティアタクシー:チクタク

過疎化・高齢化の進む豊岡市

チクタクは、兵庫県豊岡市の地域主体公共交通です。

豊岡市はいわゆる地方であり、住民の方々は基本的にご自身で所有されているマイカーを移動手段としていることから、バス利用者は少なく、加えて過疎化により民間のバスは需要が望めないものと判断し、2007年以降、豊岡市から撤退をしてしまいます。

一方で、豊岡市では日本全国と同様に高齢化も進んでいて、なかには自分で車を運転することが難しい方々、つまり交通弱者が存在していました。

市営バスも公的補助を受けられず減便

民間のバスが頼れないとなると市営のバスが頼みの綱となります。豊岡市にはイナカーと呼ばれる市営のバスが運行しているのですが、市営のバスを運営するにももちろんお金がかかります。

公的補助を活用できる仕組みもあるのですが、補助が受けられる条件は1便当たり1日1人以上の利用があること、というものであり、豊岡市はこの条件すらも満たせない状況であり、補助を受けることが叶わず、イナカーも需要の見込めるエリアに絞り減便、そのほかの地域では交通サービスが受けられなくなってしまいました。

市民が持ち回りでドライバーを担当、低予算で対応

そこで、豊岡市では市民からボランティアを募り、ミニバンを用いたタクシーサービス、「チクタク」を始めます。

チクタクはイナカーが対応できない地域を対象とし、交通サービス提供は週3回にとどめ、また利用者は予め会員登録を済ませたうえで事前に予約をすることをルールとしています。市民ドライバー役は持ち回りであり、またサービスも週3回のみなので同じ人がドライバー役をするのは月に1~2回にとどまります。

これにより、市民バスを用いるときの半分以下のコストで交通弱者を救うことが出来たばかりか、バスよりもミニバンは小型なので利用者の目的地まで直接向かうことが出来るという利便性も得られました。

素晴らしい取り組みですよね。MaaS、CASEというと、AIやIoTを駆使した取り組みからいきなり始められたような事例をイメージしてしまいがちですが、チクタクは単純な予約制のWEBサイトが出発点となっています。

オンデマンド交通システムを活用:コンビニクル

チクタクサービスは、東京大学発のシステムである、コンビニクルというオンデマンドの交通システムを活用しています。

こちらのシステムは全国の数多くの自治体でバス・タクシー等の予約システムのイメージで活用されています。運行体系、運行ダイヤ、乗り降りの自由度(固定の場所のみか、あるいはドアtoドアを許容するか、など)は自治体ごとに個別に設定することが出来る柔軟なシステムとなっています。

東芝発のAIを活用し、需要予測の可視化も

このチクタクとコンビニクルのコンビで得られた実績データ、現在では、東芝発のAIに読み取らせることで需要予測の可視化を行うという面白い試みが行われています。

過去数年の実績データ(需要)に加えて当時の天候データなどをかけ合わせて解析し、どんな時にどこを出発地点として、どこを目的地とする需要が発生するのか、という予測をAIが行います。

こうして得られた予測に基づき、自治体で行われるオンデマンドのバス、タクシーの配備を事前に効率よく計画するということが可能になると見込まれています。

例えば、需要が減ると思われる場合はバスの運行本数を減らしたり、タクシーの配備を計画的に中止する、あるいは需要が増えるときには運行本数を増やすなどをすることで、少ない予算で効率的に交通サービスの需要を満たすことが出来る、といった効果が期待できます。

自動運転も可能な電動車イス:Whill(ウィル)

高機能性とDeisgnで車いすをポジティブなイメージへ

お次に紹介するのが電動車イスのWhill(ウィル)です。

Whillは、車いすは歩けない人のためのもの、車いすに乗る人は不幸な人、そんなイメージを払しょくするということをコンセプトとして、機能性はもちろんDesign性も重視した車いすとなっています。

従来の車いすと比較したWhillのメリットは、「Designがスタイリッシュ」、「高機能」、「パワーがあるため小さな段差に躓かない」、「狭い場所で回転が可能」、「電子機器であるため自動運転にも対応」、と多岐にわたります。

以下に、最新ModelのWHILL Model C2の機能を簡単にまとめておきましょう。

  • 小回りが利く
    • 前輪はオムニホイール(進行方向の真横に回転できる)であり、半径76cmで回転が可能。エレベーターなどの狭い場所でも回転可能
  • 段差を乗り越えられる、傾斜を登れる
    • 5cm程度の段差は乗り越えることが可能で、傾斜も10度まで難なく走行可能
  • 片手で簡単に操作できる
    • 半身不随や筋力が不足している方でも簡単に操作可能な設計
  • 乗り心地を保証する衝撃吸収力を持つ
    • 段差を超えたときの衝撃、加速、停止時の衝撃を緩やかに吸収するサスペンション、モーター機能を持つ
  • 一日は十分に持つバッテリー(18km走行可能)
    • 5時間の充電で18km走行が可能で、1日利用可能。また、重電の際はバッテリー部分のみ取り外して充電可能。

オムニホイールについての説明です。以下、見て頂くとわかるように、進行方向と垂直(真横)に回転することが出来るので、小回りが利きます。(画像はここから拝借)

自動運転への対応で広がる用途

Whillはただの電動車いすではありません。自動運転に対応することで、用途はさらに広がります。

現時点では1台100万円程度と高額ではあるものの、機能とDesignを武器に堅調に売り上げを伸ばしているWhillですが、自動運転への対応により所有せずともWhillを使える社会がやってくるかもしれません。

2020年9月1日~2021年3月31日の期間において、慶應義塾大学病院内でWHILL自動運転システムの実証実験が行われています。この実証実験では、目的地を指定した状態で乗車し、目的地まで自動運転でたどり着くことを検証しました。

目的は自動運転の精度、快適さ、エレベーターにもきちんと乗れるか、Whillの衝突回避機能がきちんと働くか、といった部分をテストすることですが、この実験の結果をうまく用いていくことで、将来的にはWhillのシェアリングサービスも可能となります。

例えば、病院の例でいえば、来院した患者さんが地上階でWhillに乗車し、目的地を指定したらあとは自動運転でエレベーター等を使いながら患者さんを運んでくれます。

そして、入院し、就寝するタイミングになったらWhillが自動でバッテリー充電のために動いてくれます。エレベーターにも反応するセンサーを付けておくことで、完全無人で建物の中をWhillが動き回るということが出来るようになります。朝起きて、Whillが必要になる時間を指定しておけば、その時までにベッドまでWhillがやってきてくれる、ということも可能です。

もちろん、病院以外の建物でも使用可能なコンセプトですので、介護施設でも使えるかもしれませんし、本来の用途を超えて建物内部で運搬を担う役割として活躍してくれるかもしれませんね。

個人所有の車を有効活用するエニカ(DeNA)

本投稿で最後にご紹介するのは、DeNAとSOMPOホールディングスの合弁会社であるDeNA SOMPO Mobilityが提供する、Anyca(エニカ)です。

エニカはモバイルアプリの形態で提供されており、個人所有の自家用車と、その自動車を利用したいというユーザーを紐づけるという需給のマッチングを行います。

日本ではライドシェアは禁止だが共同使用はOK

個人所有の自家用車を有効活用する、というビジネスモデルから、Uberを連想される方も多いかもしれませんが、日本ではUberが米国などで提供してきたライドシェア、いわゆる白タク行為というものは禁止となっています。

しかしながら、エニカは個人使用のものを「共同使用」という目的で貸し出すという形態であるため、規制の対象ではありません。

そもそも、ライドシェア、白タク行為というものは、届出を行っていない個人が他社に対して交通サービスの提供や運送を行うことによって、その対価を受け取るという行為を指します。Uberはこのあたりの規制を深く考慮することなく、タクシー協会や国交省との事前の確認もなしに同ビジネスを展開したことで問題となりました。

エニカは、個人所有の車を貸し出し、運転自体はユーザーが行うという点がそもそもライドシェアとは異なりますし、また、利用料金は発生するものの、それは交通サービス、運送への対価ではなく、車を利用させて頂くことで発生するガソリン代やエニカ自体のシステム利用料として扱われます。

DeNA SOMPO Mobilityは国交省に対して、「エニカのビジネスモデルは共同使用に相当し、ライドシェアには該当せず規制の対象ではない」と実際に確認を得ています。

多種多様なラインナップ、柔軟な受け渡し

レンタカーに近い印象を持たれるかもしれませんが、違いはラインナップと、受け渡しに関する柔軟性です。

エニカで使用できるクルマは個人所有のものですので、好みに応じて多種多様なクルマを選ぶことが出来ます。気分的に高級外車に乗りたければもちろん場所によりますがBMW、ベンツなども選択できるでしょう。

また、受け渡し場所も柔軟になります。どこで受け渡すのかは利用者様と所有者様の間のコミュニケーションにゆだねられるのですが、所有者様の自宅のケースもあれば、近くの駐車場などのケースもあります。利用者様は場所別にクルマの検索を行うことが出来るので、予定に合わせて最適な場所を調整できるようになります。

高級車がゼロ円で自宅に - ゼロ円マイカー

DeNA SOMPO Mobilityが提供するキャンペーンとして、非常に面白いものが「ゼロ円マイカー」というものです。こちらは、クルマは現時点で持っていないけども、クルマの所有者および利用者(Owner兼Driver)として登録したい!という方を募るキャンペーンとなっています。

ゼロ円マイカーキャンペーンでは期間を定めてOwner希望者様の募集を行い、ゼロ円マイカーのOwnerとして選定された方は、DeNA SOMPO Mobility所有の自動車を自宅等の駐車場へ置くことになります。

ゼロ円マイカーのラインナップとしては、2020年1月の募集ではメルセデスベンツGクラス、レクサスNXであり、Owner様はこのクルマに対して洗車や車内清掃などの管理を行うことを代わりに、優先的にエニカを通して利用予約ができるようになります。

本来であれば相応のお金を支払わなければ所有できない高級外車を、厳密には所有は出来ないものの、特別な必要の発生無く自宅等の駐車場等に置き、優先利用が出来るため実質的なOwnerになれる、というキャンペーンとなります。

今後も、募集が行われるかもしれませんので、自宅に駐車スペースがあって、ぜひ応募したい!という方はDeNA SOMPO Mobilityのプレスリリースをチェックしておくと良いでしょう。

自動車台数の抑制、大気汚染の抑制につながる

MaaS、CASEの観点とは少々異なりますが、エニカの導入によって、稼働率の低い自動車が少なくなり、また自分で自動車を所有しようと考える消費者が少なくなることにつながります。

自動車の所有台数が減ると、製造台数の減少・抑制に寄与すると考えられています。これが自動車メーカーにとって良いことかというとそうではないように見受けられますが、自動車は製造台数が非常に多いため、製造過程によって発生する大気汚染物質等がしばしば問題に上げられます。

まわりまわって、こうした大気汚染の抑制にもつながるものという見解もあります。(自動車のトラフィックや走行距離自体は影響を受けないと思うので、走行によって生じる汚染物質には関係がない点がイマイチかな、と個人的には思いますが・・・)

終わりに

いかがでしたでしょうか。今回は3つ、MaaS/CASEの観点で日本企業の取り組み事例を扱ってみました。日本国内でもこうした取り組みがどんどん行われているという点は、わくわくしますよね。

それと同時に、ライドシェア禁止の例にあるように、規制との付き合いが非常に重要なテーマなのだということも見えてきました。そうした規制がある場合も規制があるからダメだ、とあきらめるのではなく、必要性と実用性を信じ、実証実験等を介して規制自体も変えていくという試みが企業には求められています。

また面白い企業の取り組み事例があれば、ご紹介したいと思います。

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