皆さん、どうですか、SAP触ってますか?
私は全然です。いつかSAP導入プロジェクトに再びかかわる日を夢見ています。
この投稿では、記憶を頼りにSAPのPurchase Requisition のitem overviewの項目について解説を行なっていきます。
Agenda
【SAP】購買要求項目説明
想定読者
- SAPプロジェクトにアサインされた事業会社の方、コンサルタントの方
- 購買管理にSAPを使っているものの項目が多くてよくわからん、という人
- 社内のシステムにSAPを検討している人
想定メリット
- 購買管理に使用する項目の意味、用途、指定方法がわかる
- 項目定義書、マニュアルを作成する際に参考になる
- SAPは社内のシステムとして利用できるのか判断材料になる
Material Number
意味: 部品、備品、サービス等の識別番号
用途: 購買対象の部品、サービスを指定する
Data:CHAR
Length:18
Technical Name: EBAN-MATNR
こちらも言葉通りの意味になります。
購買管理の意味合いとしては、この識別番号を使って 購買する部品、備品、サービスを管理します。
今後、こちらの投稿では、購買対象の部品、備品、サービスなどを総じてマテリアルと呼びます。
指定方法:検索を使用、あるいは過去履歴を使用
番号は名称とセットになるので覚える必要はない
こちらの識別番号で管理はするのですが、入力するときに覚えていないといけないものではありません。
番号を入力する際、名前などで検索をかけた上で候補として表示されたものの中から選択する方法を取れます。
イメージとして、以下のような感じです。
検索画面はF4ボタンで出すことが出来るので、この機能はF4ヘルプと呼ばれています。
アスタリスクを使った検索が可能
こちらの検索機能では、*(アスタリスク)を使用することで、「~~を含む」という条件で検索することもできます。
したがって、Wiperを買いたい、という場合であればWiperという名称を持つマテリアルを検索し、
出力されたマテリアルの一覧の中から、Material Numberを選択することとなります。
マテリアルの名称は、Short Textという項目になっていて、こちらは後程説明します。
過去の入力履歴をシステムが記憶しており、ここから選択することも可能
また、SAPでは過去に入力した数値などを20個までシステムが覚えてくれているので、直近で入力実績のある内容は
スペースを入力することで画面に表示させることができます。
こちらはMaterial Numberに限らず可能ですが、入力を行っている項目でスペースキーを押下すると、過去に入力したことのある値の一覧がリストアップされます。
この中から選択して入力するということももちろん可能となります。
マスターデータが存在していることが必要
当然のことではありますが、マテリアルをシステムから読み込んで登録するのであれば、マテリアルのマスターデータが必要となります。
マスターデータのメンテナンスに関しては、また別の投稿で記載します。
Material NumberとManufacturer Parts Numberの違い
ご注意いただきたいのは、こちらのMaterial Numberはマテリアルの管理、つまり、
システム所有者の視点での管理対象となっているので、製造元で使用している製造番号とは異なるということです。
製造元で使用している、製品に対して付与された識別番号は、Manufacturer Parts Numberという番号になります。
具体例を用いると、
商品Aを製造している企業Xがいるとします。
企業Xは、この商品Aに対して、製造番号としてXXX001という番号を付けました。
この番号は、Manufacturer Parts Numberとなります。つまり、製造元で採番した番号ですね。
この商品を買う立場である企業Yが、SAPを使用しているとしましょう。
企業Yは、この商品Aを買いたいので、まずマスターに登録します。そのとき、商品Aに対して、識別番号YYY001とつけました。
このYYY001が、Material Numberとなります。
Short Text
意味: Material Numberに対応する名称
用途: 部品、備品、サービス名を確認する
Data: CHAR
Length: 40
Technical Name: EBAN-TXZ01
こちらは、Material Numberに対応する形式でマテリアルが持つ、マテリアルの名称になります。つまり、部品、備品、サービスの名称になります。
システム内に同じ名称が存在できる。
Material Numberはシステム内で重複することが許されませんが、こちらのshort textはシステム内に同じものが存在出来ます。
その理由は、製造元が別でも同じ名前の製品を作っている、といったケースが想定される、あるいは厳密には違うのかもしれないが、
購買・利用の観点では何ら違いがないと考えられるものが存在するためです。
指定方法:Material Numberに引っ張られる形で入力されるので、直接入力する必要はない
こちらのShort Textは、PRに直接入力してもらう必要はありません。
Material Numberがいずれかの方法により選択されると、自動でマテリアルマスターからそのマテリアルの名前が入力されます。
まだマテリアルがない、という場合であっても、あとで変更可能なダミーマテリアルを選択することとなり、
そのダミーマテリアルの名称が自動で入力されますので、この段階ではShort Textにユーザーが直接何かを入力するということはありません。
Purchase Requisition Quantity
意味:購買要求に入力された要求数量
用途:必要な数量、購入したい数量として入力する
Data: QUAN
Length: 13/3
Technical Name: EBAN-MENGE
言葉の通り、購買要求に入力された、要求数量、必要数量がPurchase Requisition Quantityとなります。
指定方法:数量単位を意識してユーザーが入力する、あるいはシステムにより自動入力される
ユーザーが入力する場合、数量として数値を入力してもらう必要がありますが、次の項目で記載する数量単位を意識して入力してもらう必要があります。
1個のつもりで入力したら、実は1キログラムという意味合いになってしまっていた、ということがないように、数量単位をきちんと確認して入力しましょう。
システムが入力するケース例
システムが入力するケースの例としては、以下があります。
- 販売に紐づいた購買要求であるケース
- 販売をするためにXX個買う必要があるため、システムが自動でXX個の購買要求をする
- 生産計画に基づいた購買要求であるケース
- 生産をするためにXX個買う必要があるため、システムが自動でXX個の購買要求をする
- 物流計画に基づいた購買要求であるケース
- 在庫転送などの在庫配置をするためにXX個買う必要があるため、システムが自動でXX個の購買要求をする
- 需要予測に基づいた購買要求であるケース
- 需要を満たす在庫を持つためにXX個買う必要があるため、システムが自動でXX個の購買要求をする
これらのシステムが入力するケースでは、もちろんですが数量単位は意識された状態で必要な数量が指定されます。
設定によっては最小購入数量、購入ロットに丸められる
こちらの数量ですが、取引先との契約によっては最小購入単位や購入ロットに丸められることがあります。
例えば、取引先からは5個以上の注文でなければ対応できないということが言われていて、その内容を事前にマスターに登録していた場合は、
1個を注文しようとした瞬間に数量が自動で5に更新されるということが可能です。
あるいは、購入単位を5、つまり5個ずつ購入するという決まりにしていて、その内容もマスターに登録している状況で会えば、
13個の注文のしようとした瞬間に数量が自動で15個(3×5)に更新される、ということも可能となります。
これらの設定は、それぞれMinimum Order Quantity(最小購入数量)、Rounding Profile(丸め設定)といった項目で制御されるのですが、
それはまた別の投稿で記載させていただきます。
Purchase Requisition Unit of Measure
意味:購買する数量の単位
用途:購買要求で指定した数量の単位を購買部門、および外部の取引先へ連携する
Data: UNIT
Length: 3
Technical Name: EBAN-MEINS
SAPでは通常のビジネスに使用する数量単位はすべてカバーしている
SAPでは、標準の機能の範囲でSI単位はカバーされているので、通常の商取引に用いられる数量単位はすべて使用可能です。
よく使われるものとしては以下のようなものがありますが、標準で使用されるものはEAです。
(例)
- EA:each(個)
- PC:piece(ピース)
- KG:キログラム
指定方法:マスターから自動で入力される。
こちらの数量単位ですが、ユーザーに入力して頂く必要はありません。
Material Numberを指定して頂ければ、こちらの数量単位は自動でマテリアルマスター、あるいはPurchase Info Recordというマスターから出力されます。
マスターの話はまた別の投稿でしますが、マテリアルマスターはマテリアルの基本情報を保有しているマスターで、
Purchase Info Recordはそのマテリアルを特定のどこかから買うときの条件などを保有しているマスターとなります。
購買要求を作成する時点でPurchase Info Recordまで特定ができる場合は、Purchase Info Recordの情報が優先的に使用されるのですが、この数量単位はその一例となります。
必要であれば、マスターから出力された数量単位に変更を加えることもできますが、実際には起きないケースでしょう。
いずれにせよ、ユーザーに、マテリアルごとにどの数量単位が使用されているかを覚えて頂く必要はありません。
終わりに
今回取り扱った項目はどれも簡単にイメージできるものだったのではないでしょうか。
マスターから取得するので心配ご無用!という項目が多かったですが、そもそもどんなマスターがあるのか、という内容についてはまた別の投稿で書いていきます。